復活遂げた熱海のシンボル、ホテルニューアカオ「残した昭和のぬくもり」と「大きく変えた部分」…接客が好評
静岡県の観光地・熱海を代表する「ホテルニューアカオ」。台風被害やコロナ禍を受け営業を終了したが、2023年7月、「熱海のシンボル“蘇(よみがえ)る”」のキャッチコピーを掲げ復活を遂げた。「昭和のぬくもり」が残る建物や内装、従業員たちの接客が好評で、稼働率も好調だ。(松本宏敬)
ホテルは、熱海や日本が元気だった昭和の成長期を象徴するような豪華さやレトロ感が受けてV字回復を果たした。24年の平均稼働率は80%、宿泊客は24万~25万人で、コロナ禍前を2割超上回るペースだ。
「古いものは残していくのが基本方針。昔のホテルのイメージを継承できている」と礒崎慎・総支配人(48)は話す。23年の再オープンの日には、自分の親と子の3世代で訪れた客が「懐かしい。昔のまま」と喜んだ姿が忘れられないという。
24年11月、エレベーターを増設するため、フロントを移設したが、以前の資材を再利用して、かつての雰囲気を残す工夫をした。ロビーテーブルの脚は付け替えたが、大理石の天板はそのまま残した。赤色のカーペットも、できる限り近い雰囲気のものを選んだという。
大きく変えた部分もある。現在のフロントがあるオーシャン・ウイングと、別棟のホライゾン・ウイングは以前、別々のホテルとして運営していた。しかし、再オープンを機に、どちらに泊まっても、双方の大浴場、食堂、ラウンジを利用できるようにした。両方が楽しめ、宿泊客には大好評だという。
ホテルは22年に米投資ファンドが買収し、系列のホテル運営会社「マイステイズ・ホテル・マネジメント」の一員となった。当時、交渉に携わった若林豪・宿泊支配人(45)は「150以上のホテルが蓄積したノウハウや人的資源が集客力の向上につながっている」とグループ効果を指摘する。繁忙期には系列ホテルから応援が来る。逆に応援に行くこともあり、多くのホテルの取り組みを目の当たりにし、従業員らと交流することで、いい刺激を受けているという。