中国で相次ぐ巨額追徴課税で企業家パニック、日本企業も駐在員も危ない!30年前の過少申告も摘発、その狙いとは…
■ 200年の歴史を誇る白酒の老舗企業も狙われた 最近、中国で民営企業に対し、20~30年前にさかのぼって未納の税金を追徴されるケースが次々と明らかになった。それが理由で生産停止命令を受けたり、倒産したりする企業も出てきている。これが、何を意味するのか。 まず湖北枝江酒業の元親会社の維維食品飲料株式有限公司が枝江酒業の過去30年分の未納消費税8500万元の追徴通知を受けたことを6月13日夜に発表したことが、中国でも衝撃的なニュースとして報じられた。維維は湖北省老舗白酒ブランド、枝江酒業のかつての親会社である。 追徴通知の内容は、枝江酒業の1994年1月1日から2009年10月31日までの消費税、都市維持建設税、教育費付加の未納分、合計8500.29万元を規定の期限内に納めよ、というものだった。 枝江酒業は清朝時代から続く200年の歴史を誇る白酒の老舗企業だが、2009年に維維食品飲料が、枝江酒業の株51%を取得し筆頭株主となった。2013年に、枝江酒業の株式70%が維維グループ、20%が枝江市政府、10%が枝江酒業会長の蒋紅星が保有する形になった。 ただ、軍人官僚の贅沢を禁止する習近平政権下で高級白酒の売り上げは激減し、2020年には維維は枝江酒業をグループから切り離すと発表。2023年に維維は持ち株を枝江酒業に譲渡し、株式分離を行っていた。 維維は1994年に設立された民営食品飲料企業で、2000年に上海市場に上場、2012年には中国500企業の1つに数えられる優良企業。特に豆乳飲料が有名だ。枝江税務当局の通知によれば、維維は枝江酒業を買収する前の枝江酒業の未納分税金を枝江酒業が支払えないなら、維維に納税の義務があるとした。 維維はこれに「不確実性がある」として抵抗。維維はもともと江蘇省徐州市に本社を置く全国展開企業だが、今回の追徴税調査は湖北省枝江市税務局開発区税務支局が担当、この額を決定した。 世論はこの件の背景に政治的理由があるのではないかと、いろいろ疑った。