8月13日のWBOアジア・パシフィック・スーパーフライ級タイトルマッチで新王者となった川浦(本人提供)

　徳島市出身のプロボクサー川浦龍生（三迫、徳島市立高―中大出）がWBOアジア・パシフィック・スーパーフライ級王座に就いた。タイトルマッチを競り勝ち、プロアマ通じてキャリア初のベルトを獲得。WBOの世界ランキングも6位とし、「最終的な目標は世界チャンピオン」と自慢の強打に磨きをかけている。 ボクシングWBO・タイトル戦　Sフライ級で川浦(徳島市出身)が新王者 　東京・後楽園ホールで8月に行われた同級タイトルマッチ12回戦で王者の大橋哲朗（真正）に挑んだ。3回までは得意の間合いで優位に試合を進めたが、4回以降は苦手な接近戦に持ち込まれた。それでも「パンチを返していればダメージはたまっていく」と諦めず、相手の疲れが見えた9回、武器の左ストレートなどで隙を突いてペースを取り戻すと、11回2分5秒TKOで勝利を決めた。レフェリーストップの瞬間、「ああ勝ったんだと思ってほっとした」と率直に振り返った。 　タイトル挑戦は2度目。昨年6月に日本王座決定戦に挑んだが、TKO負けした。今回は同じジムの先輩で元スーパーフライ級王者・中川健太が奪われたベルトだった。「絶対に負けられない一戦。ベルトを奪回して、試合を組んでくれたジムやいろんな人に恩返しする」と気持ちを込めた。 　三迫ジムには2022年10月に移籍。大学卒業後、海陽町出身の元世界王者川島敦志さんが会長を務める川島ジムに所属していたが、同級の対戦相手も豊富な大手へ移ることにした。中川らの背中を見ながら練習に励み、王座への思いを深めた。 　タイトルマッチ後の8月下旬、実家のある徳島市に帰省。親戚や近所の人、高校卒業までお世話になった千頭（ちかみ）ジムの関係者らにチャンピオンベルトを持ってあいさつ回りし、祝福された。ふるさとで6日間も滞在したのは約2年ぶり。「育った場所なので景色は変わっているけど、やっぱり落ち着く」と懐かしみ、英気を養った。 　地域王座のアジア・パシフィック王者として今後は防衛戦を重ねていく。世界ランキングが15位内であれば、世界王者から対戦のオファーを受ける可能性がある。今年3月に30歳を迎え、もっと練習が必要と謙虚に語りながらも、「いつ声が掛かってもいい状態にしている」と自信をのぞかせる。 　かわうら・りゅうせい　1994年生まれ。ボクシング好きの父にボクシングジムに連れられたことがきっかけで、小学5年から競技を始めた。徳島市立高時代には四国高校選手権でモスキート、ピン、ライトフライの3階級を制覇。モスキート級で出場した2009年の全国総体では3位に入った。中央大では12年の「ぎふ清流国体」でライトフライ級3位入賞。16年11月にプロデビューを果たし、23年6月にスーパーフライ級日本王座決定戦に臨んだが、4回TKO負け。2度目の挑戦で新王者となった。168センチ。サウスポー。