石破首相が「令和の日本列島改造」表明、地方創生で東京一極集中打破…「大連立」には慎重姿勢
石破首相は6日、三重県伊勢市で年頭記者会見に臨み、地方創生を通じて東京一極集中を打破する「令和の日本列島改造」構想を表明した。政府機関の地方移転を推し進め、政府の職員が都市と地方の2拠点で活動する制度を新設する。少数与党として、野党の協力を得ながら政策実現を目指す考えを示しつつ、野党と政権を組む「大連立」には慎重姿勢をにじませた。
首相は、自身が政治の師と仰ぐ田中角栄元首相が高度経済成長期に唱えた日本列島改造論と対比させる形で、人口減少時代に合わせた「令和の日本列島改造」の必要性を訴えた。「成功させなければ日本に将来はない、との危機感を強く持って列島改造を進める」と語り、多様性のある社会の実現に向け、地方創生に取り組む決意を示した。
政府機関の移転は、2026年度中に創設する「防災庁」を含め、地方から提案を募った上で順次進めるとした。民間企業の本社機能移転を後押しする環境整備にも注力する。地方人口を増やすため、移住と観光の中間の「関係人口」に着目し、国の若手職員が週末は地方で過ごすなど、2拠点で活動できるよう支援する制度新設も打ち出した。
自民、公明両党が少数与党となって初めて迎える24日召集の通常国会では、政治とカネの問題を踏まえた企業・団体献金の禁止について与野党が議論し、3月末までに結論を出すことになっている。首相は、「問題の本質は民主主義のコストを誰が負担するかだ。与野党の枠を超えて議論を深めたい」と述べた。
政府が通常国会に提出する年金改革関連法案に関しても、「社会保障制度は責任を持って次の世代に引き継がなければならない」と野党の理解を求めた。幅広い民意が政治に反映されるよう、選挙制度の将来的な見直しを念頭に、「党派を超えた検証が必要だ」との認識も示した。
一方、政権運営を安定させるための野党との大連立は「今の時点で考えていない」と述べた。「自民党は、現在と次の世代の国民に責任を持つ『責任与党』でなければならない」とも語り、比較第1党として与野党協議を主導しながら政策実現を進める考えを強調した。