【五月病やスマホ中毒】落ちた集中力を取り戻す3つのコツを専門家が伝授
体内時計を尊重する
集中力を高める最も簡単な方法のひとつは、毎晩十分な睡眠をとることだ。多くの成人には少なくとも7時間の睡眠が必要だと言われている。 カリフォルニア大学デービス校のチャラン・ランガナス教授(心理学・神経科学博士)によれば、目標を達成するために必要なことに集中する能力は、脳の実行中枢と呼ばれる前頭前皮質に大きく左右されるという。私たちの脳は、一度にひとつのことにしか集中できない。そのため、新しいスニーカーを注文しながら、メールの下書きをしつつ、電話会議を片手間に聞くといったマルチタスクをこなすと、切り替えることにエネルギーを消耗し、限られた認知エネルギーをすぐに使い果たしてしまう。 『Why We Remember(原題)』の著者でもあるランガナス教授は、マルチタスクをこなすと新しい情報を記憶する能力が低下し、ミスを起こしやすくなるが、睡眠不足のときはそれがより一層増幅されると言う。同教授はさらに、「睡眠不足は、前頭前皮質に悪影響を及ぼします」「『これが私の目標で、これに集中する』という精神的能力がなければ、私たちは自分の興味を引いたものだけを覚えてしまいます」と付け加えている。 『Tranquility by Tuesday(原題)』の著者で、時間管理の専門家であるローラ・ヴァンダーカム氏は、最も大切なのは一貫性を保つことで、就寝時間を決めてそれをしっかり守るようアドバイスしている。そうすることで、(特に寝る1時間前にはデジタル機器から離れると)夜がより目的意識のある穏やかな時間になり、翌朝すっきりと目覚めて楽観的な気分になる可能性が大幅に高まる。
明確な目標を設定する
学術雑誌『Attention, Perception, & Psychophysics』に掲載された研究によれば、時間制限のあるタスクが与えられ、徐々にその目標時間が短縮されていった人たちは、できるだけ早く対応するように言われただけの人たちよりも、対応時間が短くなっただけでなく、注意力の低下も少なかった。 ヴァンダーカム氏は、毎週定期的に計画を立てて、次の週の最も重要な目標を設定し、その目標に取り組むための中断されない時間(ほとんどの人は、昼前と午後の半ば頃に最も生産性が上がるため、その時間帯が理想)を確保することを勧めている。 また、些細な仕事(頭の回転が鈍いときでも片づけられる仕事)をまとめておき、そのための時間を確保するのも効果的だと彼女は言う。 「次の週のタスクや、自分にとって最も重要なことは何かを考慮した上で、それらのタスクをいつごろ実行するかを大まかに決め、計画上の課題を解決しましょう」「そうすることで、火曜日の午後に(TikTokに時間を取られることなく)やると決めたことを実行しやすくなります」