だから加工食品の摂りすぎはよくない。腎臓を蝕む食生活とは?(専門家が監修)
カラダの酸性化がリンの害を増幅する
カラダに吸収されたリンが毛細血管の固まりである腎臓にダメージを与える。さらにある条件が揃うとそのダメージが増幅されるという。そのひとつが体内の環境が酸性になること。 「同じ量のリンが体内に吸収されても弱アルカリ性の環境ではCPPの合成が抑制されることが分かっています。健康な腎臓は酸を尿として排出してカラダを弱アルカリ性に傾ける働きがあります。腎臓が悪くなるとカラダは酸性に傾き、CPPがより合成されやすくなります」 野菜、海藻、大豆製品などアルカリ性の食品を積極的に摂ることが解決策のひとつ。同時に肉、魚、卵などの酸性食品はバランスよく取り入れる。動物性タンパク質食材はほどほどにし、大豆製品を主菜として取り入れれば、腎臓を老けさせるメチオニンの過剰摂取を防ぐことにもなるので一石二鳥だ。
週3回4時間拘束される人工透析人生
人工透析は機能が低下した腎臓に代わり、医療機器を使って血液から老廃物を取り除くこと。一般的な方法としては腕の血管に針を通し、ポンプを使って取り出した血液をダイアライザーという血液透析器に送り込んで浄化し、再び体内に戻すという方法。 「2~3日分の毒素や水分を週3回、約4時間かけて浄化します。人工透析を受ける原因として最も多い糖尿病性腎症の5年生存率は、昔は50%程度でした。腎臓の働きを補うことはできても脳卒中などを発症することが多かったからです。でも今はよほど暴飲暴食しない限りは人工透析を受けながら20年、30年存命するケースも珍しくありません」 とはいえ、1週間に12時間拘束される人生はなかなかにハード。毎日加工食品を口にしている40代男性はこの機会に食生活の見直しを。
取材・文/大吹雪ジュン 編集/阿部優子(初出『Tarzan』No.870・2023年12月14日発売)