【コラム】ニューノーマルなった「1ドル=1450ウォン」
いつのまにか遠い数値になってしまったが、「1ドル=1400ウォン」はしばらく為替レートの1次阻止線と見なされた。「為替レートトラウマ」を刺激する数字だったからだ。1ドル=1400ウォン以上のウォン安ドル高は1997-98年のアジア通貨危機、2008-09年の世界金融危機、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げとレゴランド事態が重なった2022年の3回にすぎなかった。「1ドル=1400ウォン」が危機の信号と見なされた理由だ。 しかしあっという間に為替レート防御線は「1ドル=1400ウォン」を超えて新たな段階に入った。非常戒厳、弾劾政局とつながった不確実性の中で「1ドル=1450ウォン」が「ニューノーマル」となる態勢だ。26日のソウル外国為替市場は1ドル=1464.8ウォンで取引を終えた。世界金融危機当時の2009年3月以来15年ぶりのウォン安ドル高水準だ。ウォン安は続いている。韓国銀行(韓銀)によると、今年1月2日から今月24日までの平均為替レートは1ドル=1363.09ウォンだ。年平均で1ドル=1350ウォン以上となったのは1998年以来26年ぶりとなる。 自国通貨の価値を表す為替レートは国力の指標となる。経済のファンダメンタルズを反映するからだ。ドル高基調の中、輸出不振と景気鈍化の懸念、さらに政局混乱による外国人投資家の離脱までが加わり、ウォン安ドル高が進行している。4000億ドルを超える外貨準備高と国内総生産(GDP)の50%に達する対外純資産、経常黒字などを勘案すると過去とは違うと政府は強弁するが、市場はすぐに変わる。経済を捨てて政争に没頭すればウォン安ドル高を防ぐ方法はない。 ハ・ヒョンオク/論説委員