ハイソカーの代名詞、トヨタ「ソアラ(Z10)」の、時代をリードした初モノ尽くしの新機構・新装備とは?【歴史に残るクルマと技術046】
●国産車初やトヨタ初など、初モノ尽くしのソアラの新機構・新装備
見る者を魅了する華麗なスタイリングに加えて、ソアラの人気を加速したのは群を抜いた豪華かつ多彩な機構・装備であり、その多くは国産初、トヨタ初で新世代感を大きくアピールした。 とにかく初モノだらけだったソアラ、エンジンは2.0L&2.8LのDOHCエンジンだが2.0L以上のDOHCは国内初、出力170psは当時最強、また1983年に追加された2.0L(1G)に装着されたターボはトヨタ初(クラウンと同時)だった。 機構・装備で最も注目されたのが国産量産車初の“エレクトリックディスプレイ(デジタルメーターやLEDタコメーターなど)”であり、その他にもマイコン制御の“オートエアコン”は国産車初、目的地までの距離や時間を計算してくれる“ドライブコンピュータ”、“エア式ランバーサポート”、合成音で警告を知らせる“スピークモニター”、“録音機構付きカセットテーププレイヤー“などが採用された。 さらに、“パワーアシスト付きラック&ピニオン”はトヨタ初であり、1983年のマイナーチェンジでは電子制御サスペンション(TEMS)を採用。車速や道路状況に応じてショックアブソーバーの減衰力を自動制御するもので、世界初だった。
●バブルとともに花開き、バブル崩壊とともに幕を下ろしたソアラ
初代の後を継いだ2代目ソアラ(Z20系)は、日本がバブル好景気に沸き始めた1986年に登場した。 初代のキープコンセプトながら、より洗練されたスタイリングとさらなる最新技術を投入。エンジンは、当時最強の3.0L直6 DOHCインタークーラー付ターボ(7M)、および2.0L直6 DOHCツインターボ(1G)エンジンを搭載し、初代の走りに磨きをかけた。 2代目ソアラは、バブル好景気の勢いと相まって、販売台数は初代を超える5年で30万台以上の空前の大ヒット。400万円を超える最上級モデルが飛ぶように売れたのだ。また、バブル期に大ブームとなったスポーティな高級セダン“ハイソカー”ブームを代表するクルマとなった。 その後、3代目(Z30系)ソアラは、1991年に登場。日本のバブル好景気も終焉を迎え、3代目は北米市場を狙った上級の3ナンバークーペとなり、日本での販売は右肩下がりになった。 さらに、2001年に登場した4代目(Z40系)は、電動格納式メタルトップのコンパーチブルモデルとなって登場し、海外では「レクサスSC」としても販売されたが、2005年に日本でレクサスブランドがスタートしたことを受け、ここで名車ソアラの名前は市場から消え去ったのだ。