研究開発目覚ましい「自動運転」SFが描く未来像 日産が短編集
自動車業界はいま、100年に一度という大変革期を迎えている。とりわけ近年の自動運転に向けた技術開発や研究の進展は目覚ましい。自動運転は交通事故の低減、渋滞の解消や緩和、少子高齢化対策に効果がもたらされることが期待されており、国内外の自動車メーカーのみならず、GAFA(ガーファ=Google、Amazon、Facebook、Apple)など世界的なプラットフォーム企業なども巻き込んだグローバルな大競争になっている。 【動画】“運転席に誰もいない”自動運転「レベル4」のデモ車に試乗
メーカーや地域で進む自動運転プロジェクト
日本でも昨年2019年は自動運転の動きが多く展開された年だった。実用化に向けた実証実験が業界横断的に行われたほか、関連する技術を搭載した車なども発売された。ソフトバンク系のSBドライブは、ハンドルのない自律走行バスの走行実験を各地で行っているほか、秋田県上小阿仁(かみこあに)村では、地元のNPO法人が道の駅を中心に自動運転の車で料金を徴収して人を運ぶ商用サービス(走行延長3.2キロ)を始めた。 さらに2020年の年明けには大きなニュースが飛び込んできた。トヨタ自動車はさまざまなモノやサービスがITなどでつながる「コネクティッド・シティ」を、2020年末に閉鎖する東富士工場(静岡県裾野市)の跡地に新設すると発表した。自動運転や情報技術を用いた移動の新概念「MaaS」(マース=Mobility as a Service:移動のサービス化)の研究、人工知能(AI)技術などの実証実験などを行って新たなビジネス展開を目指すという。ここでも自動運転は柱の一つになっている。 技術レベルや実証実験の水準が年々上がる中、自動車メーカー各社による自動運転対応車種の開発ピッチも上がっている。日産自動車は先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」を搭載した新型スカイラインを昨年発表したほか、トヨタ自動車は今年夏の東京五輪・パラリンピックの選手村という限定領域で自動運転システムを可能にする「e-Palette」(イーパレット)を提供する。日本政府も力を入れており、今年中をめどに高速道路での自動運転(レベル3)のほか、限定地域での無人自動運転移動サービス(レベル4)の実用化(※)を目指している。