臼杵市の火災1カ月、商店街再建なお時間か がれき撤去推進へ被災者は対策会議設置
大分県臼杵市臼杵の八町大路沿いで店舗や住宅など計15棟が焼けた大規模火災は24日、発生から1カ月となった。焼け跡には焼損したまま手付かずの建物もあり、再建には時間がかかるとみられる。被災者はがれきの撤去を進めるため対策会議を設置。仮店舗で営業を再開した商店主もおり、市内外から被災者を後押しする義援金が集まっている。 現場はJR臼杵駅から800メートルほど西側の市中央通り商店街の一画。粉じんが飛ばないよう高さ約3メートルの防護ネットで囲われ、周辺には現在も焦げた臭いが漂う。 「あっという間の1カ月だった」。呉服店を営む藤原紳一郎さん(60)は大火で店舗兼住宅が全焼した。商店街の空き店舗を借り14日に営業を再開。年明けの成人式や卒業式、入学式に向け準備に忙しい。 「地域の人が棚や机を貸してくれた。たくさんの支援があって店を再開できた。本当にありがたい」と語る。 親から受け継いだ茶販売店が全焼した徳丸香枝さん(62)は、来年1月中の再オープンに向け、閉店した近くの理容室に仮店舗を構えた。 「最初はかなり落ち込んだ。気持ちを切り替えられたのは周囲の応援があったから。何としてでも店を再開して、恩返しがしたい」と前を向く。 2人を含む19人の被災者は、商店街振興組合の前田勝雅理事長と共に、「八町大路火災復旧対策会議」を16日に立ち上げた。2022年に2度の大火に見舞われた北九州市の旦過市場を視察し、再建に必要な情報を収集した。今後、がれきを取り除き更地にするため業者の選定に取りかかる。 臼杵市はこの1カ月間、被災者向けの相談窓口の開設や、市営住宅の提供に取り組んできた。27日まで支援に充てる義援金を募集。担当者は「県内や関係がある他県の自治体から、多くの善意が寄せられている」と感謝する。 現場は歴史的な建造物が立ち並ぶ市指定の「景観形成重点地区」。復興では、街並みに配慮した新店舗の建設や移転が求められる。市は補助金を準備し「目の前の生活再建にとどまらず、中長期的に支援をしたい」と考えている。 <メモ> 臼杵市臼杵の大規模火災は11月24日昼に起きた。密集する木造の建物に次々と延焼し、延べ約2100平方メートルを焼いた。消火活動に当たった消防隊員2人がけがをした。臼杵津久見署によると、出火元は70代女性が住んでいた木造2階とみられる。出火原因の特定には至っていない。