1-3月の実質GDP成長率は2期ぶりマイナス、自動車減産が影響
(ブルームバーグ): 日本経済は1-3月期に2四半期ぶりのマイナス成長となった。認証不正が発覚した一部自動車メーカーが大幅な減産を強いられる中、個人消費や設備投資、輸出が停滞した。
内閣府が16日発表した同期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率2.0%減だった。市場予想では1.2%減が見込まれていた。前期比では0.5%減。個人消費は0.7%減。自動車や携帯電話機の販売が振るわず、2009年1-3月期以来、15年ぶりの4期連続マイナスとなった。設備投資は0.8%減と2期ぶりのマイナス。
輸出は5.0%減と4期ぶりの減少。自動車の減産に加え、前期の押し上げ要因となった知的財産権使用料の減少が響いた。一方、サービス輸出に含まれるインバウンド(外国人訪日客)消費は11.6%増。消費額は過去最高を更新した。輸出から輸入を差し引いた外需寄与度はマイナス0.3%と2期ぶりのマイナスとなった。
ダイハツ工業や豊田自動織機の生産・出荷停止による販売の減少が個人消費や自動車関連投資を押し下げる要因となったほか、輸出の減少につながるなど、幅広い需要項目に悪影響が及んだ。自動車生産の段階的な再開に伴いGDPへの影響は一時的とみられているが、賃金上昇が物価高に追いつかずに停滞が続く個人消費とともに、自動車の生産動向が成長軌道へ復帰する鍵となる。
楽天証券経済研究所の愛宕伸康チーフエコノミストは、今回は自動車や能登半島地震といった「一時的要因によるところも多いので、先行きはそんなに悲観してみていない」と指摘。「鍵となるのは賃上げを受けて新年度からどのくらい消費が回復していくかどうか。インバウンドも好調で、4-6月期はプラス成長になっていく」とみている。
新藤義孝経済財政担当相はGDP発表後の談話で、好調な企業部門に加え、家計部門では33年ぶり高水準の春闘の賃上げや6月から実施される定額減税などの効果が見込まれるなど、「雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待される」と説明。政府としては、力強い賃上げの流れを定着させ、「家計所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実に作り出し、消費を下支えしていく」とした。