ナイキ新CEO、スポーツ回帰で再び成長軌道へ-短期的に悪影響も
(ブルームバーグ): スポーツウエア最大手、米ナイキのエリオット・ヒル最高経営責任者(CEO)は19日、就任後初の決算電話会議で、スポーツに再び重点を置くとともに小売りパートナーとの関係改善を進めることで社を再び成長軌道に乗せると表明した。
10月にCEOに復帰したヒル氏はオンライン販売の値引きを取りやめ、スポーツ関連のマーケティングを「より積極的」に展開していくと述べた。来年の夏には在庫の入れ替えにより受注減少が予想されており、同社は秋とホリデーシーズン向け新商品の導入スペース確保のため余剰在庫の短期間での整理も見込んでいる。
ヒル氏は「これらの措置の一部は短期的な業績に悪影響を及ぼすと認識している。しかしわれわれは長期的な視点に立っている」と語った。
マット・フレンド最高財務責任者(CFO)は2024年12月-25年2月(第3四半期)について、2桁前半の減収になる見込みだと述べた。24年9-11月(第2四半期)の減収率は7.7%だった。
株価はニューヨーク時間19日引け後の時間外で一時12%上昇したが、その後上げ幅を縮小し、ニューヨーク時間午後5時44分(日本時間20日午前7時44分)現在、ほぼ横ばいで推移している。この日の終値の時点で年初来29%下げていた。
電話会議に先立ち、同社は9-11月期決算を発表。売上高は123億5000万ドル(約1兆9400億円)と、アナリストの予想平均を上回った。一部項目を除いた1株当たり利益も予想より高かった。
決算報告が示唆しているのは、安定を取り戻しつつあるナイキの業績だ。エアフォース1などライフスタイルシューズの需要が落ち込んでいるほか、新製品や新しいデザインの少なさも響き、売上高はこれまで低迷していた。同社は販売不振を反転させようと取り組んでいる。
投資家はヒル氏がどのような業績改善策を計画しているのか、関心を寄せていた。同氏は就任以来、上級経営陣を刷新し、業務の優先事項を調整、人事と法務、スポーツマーケティングで新しいリーダーを任命したほか、デジタルスニーカー事業を閉鎖した。