福岡市地下鉄の新型車両4000系、なぜ「食パン顔」に? 荷棚等も工夫
座席はロングシート主体の配置で、1人あたりの座席幅を480mmに広げている。一般的な通勤車両より低い位置に荷棚を設置したことも特徴のひとつに挙げられ、「福岡都市圏は荷棚の使用率が低く、これが車内の奥へ詰めての乗車がしづらい要因にもなっています。荷棚をできるだけ下げ、荷物を置きやすくすることで、車内の奥へ詰めやすくなるよう工夫しています」と説明があった。ガラス板の採用等により、荷棚を下げても着席している乗客が窮屈さを感じないようにしたという。 車内設備で最大の特徴といえる6号車(福岡空港方先頭車)のフリースペースは、海側(北側)・山側(南側)で異なる配置に。海側は「車いす利用者や子育て世代がより快適に乗車してほしい」という思いの下、大型の窓と「2方向から座れる座席」を設けた。
大型の窓は、「お子さまが外の景色を楽しみながらご乗車いただけるように」とのコンセプトで設計され、窓の天地は1,236mmに。床からの高さは580mm程度とし、「2歳くらいのお子さまが、保護者に抱っこされなくても自分の目線で外を楽しめる高さ」にしている。 4000系はJR筑肥線への直通運転も予定しており、「この窓から海に近いところの景色を眺められます。お子さまと一緒に楽しんでいただけたら」「小さなお子さまの場合、公共交通機関を使ってのお出かけはハードルが高い。乗っている間、少しでも保護者の負担が減るように、お子さまが楽しめるようなしかけを作っています」と説明も。この窓のみ紫外線(UV)・赤外線(IR)のカット率を下げ、よりクリアな景色を眺められるようにしている。フリースペースに設けた「2方向から座れる座席」も、こどもと保護者が一緒に楽しめるように、自由度の高い座席とした。
フリースペースの山側には、大型の手荷物スペースを設置している。地下鉄空港線が福岡空港へのアクセス路線でもあるため、「通勤のお客さまと大きな手荷物を持ったお客さまが一緒に乗車するという難しい課題を抱えています。そこで、手荷物を持ったお客さまが、座っている席の横で小脇に抱えながら乗車できるようにというコンセプトで作りました。仕切りを通常より小型化し、仕切り越しに手荷物を支えられるようにしています」とのことだった。
MN 鉄道ニュース編集部