悩ましい「住宅ローン」問題…固定? 変動? それともミックス?「長期金利上昇」でどう変わる?
変動金利の住宅ローンは、長期債務なのにキャッシュフローが未定…
長期金利が上昇している。日本銀行は超低金利政策を続けてきたが、今年秋に1%超を容認する姿勢に転じた。住宅ローンは返済額が金利動向に大きく左右されるため、金利が固定か変動か、ミックスか、どのような選択肢がいいのだろうか。 【若い人ほど…】ヤバい…!? 30代の65%超が… 「最近は不動産物件が高くなり、都心のマンションなら中古でも7000万~8000万円くらいはします。世帯年収が1000万円くらいでも、厳しいのではないでしょうか。 一方、住宅ローンを組むと返済期間は35年などと長くなり、金利の違いで返済額が大きく変わります。住宅ローンは金利で選ぶことになります」 こう話すのはファイナンシャル・プランナーの有田美津子さん。住宅購入や住宅ローンなど、お金に関する相談にアドバイスしている。住宅ローンには固定金利と、市場金利の動向に左右される変動金利があり、それらを組み合わせたものもある。 住宅ローンを組む際に問題となるのは、10年、20年先の経済や金利水準、さらに自分の収入や家族の状況など、よくわからないことばかり。 経済や金利動向をみている専門家からも「変動金利の住宅ローンでは、この先、利払いが増えていく可能性があり、その備えをいまのうちから考えておかないといけません」(市川雅浩・三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト)。市川さんは住宅ローンが家計に与える影響について次のようにも話している。 「長期債務なのにキャッシュフロー(お金の流れ)が固まっていません。冷静に考えると恐ろしいことです」 金利が上昇していく可能性があるなか、変動金利で住宅ローンを組んでいると、利払い額がどれだけ増えるのか、予想が難しく、金利リスクにさらされることになる。 ◆現在は、圧倒的に「変動金利」がお得だけど… 住宅ローンには、どのようなものがあり、金利水準で返済額がどれぐらい違ってくるのだろうか。住宅ローンの支払い金利水準は、借入額や期間、頭金などの条件のほか、提供する金融機関により、かなり違いがある。 たとえば4000万円を借りて30年間で返済するケースでみてみよう。全期間を固定金利にすると、諸費用を除く表面金利が1.6%という商品があり、単純な試算で総返済額が約4963万円、月額返済額は約16.4万円となる。 一方、現在は低金利が魅力の変動金利。変動金利で諸費用を除く表面金利0.169%という商品があり、仮に全期間が同じ金利なら返済額が約4102万円、月額返済額は約11.7万円。金利が上昇していき、全期間の平均金利を3.0%にすると、総返済額約5805万円、月額返済額の平均が約21.1万円になる。 最近の金利はどうなっているのだろうか。長期金利の指標とされる10年もの国債で、利回りが10月末に0.955%まで上昇している。これまで日本銀行は「ゼロ金利」という超低金利に誘導する金融政策をとってきた。4月、日銀総裁に植田和男氏が就任して以降、金利の上昇を容認するかのような姿勢に少しずつ修正し始めている。