“覆面介入”ともうわさされる為替介入は、いつ・誰がやっているのですか?
外国為替証拠金取引(いわゆるFX)を行っている方や、NISAなどで海外資産に投資をするファンドをお持ちの方は、為替相場への関心が高い方も多いのではないでしょうか? 今年の7月11日の夜に、わずかな時間に1ドルが4円以上も円高方向に動くことがありました。インターネット上では「為替介入なのでは? 」といううわさが飛び交いました。為替介入の実施があったのか否かの真偽はともかくとして、本稿では為替介入の流れついて考えてみたいと思います。
為替介入とは?
為替介入は外国為替市場介入といい、外国為替平衡操作ともいいますが、本稿では以下、為替介入という名称で続けます。 さて、為替介入は「日銀が為替介入を行った」等の書き込みを見掛けることもあります。為替介入の実施の是非を判断するのは財務省です。そして日本銀行は、法律に基づいて財務大臣の代理人として、財務大臣の指示に基づいて為替介入を行います。 ちなみに、為替介入とは為替相場に影響を与えるために、外国為替市場で自国通貨(円)と外国通貨の売買を行うことです。為替介入の目的は、為替相場の急激な変動を抑えて、外国為替市場の安定化を図ることです。
為替介入……日銀と財務省の役割分担
日本銀行は為替市場の情報を毎日、財務省に報告しています。では、もし財務大臣が為替介入を「行うべき」という連絡があった場合は、どのようになるのでしょうか? その場合には、日本銀行は財務省に対し、為替相場の変動要因と介入の是非の判断に役立つような市場の情報を報告します。この報告を基に財務省は、日本銀行に対し為替介入の実施を具体的な指示を出します。そして日本銀行が為替介入を行います。 日本銀行は、財務省に対し、為替市場に関する情報を毎日報告しています。また、財務大臣が為替介入を必要と判断した旨の連絡を受けた場合には、財務省に対して、為替相場における変動の要因や、介入決定の判断の材料となるようなマーケット情報を報告しています。 つまり、「日銀が為替介入を行った」等の書き込みは間違いではありませんが、その是非を判断するのは財務省なのです。 <為替介入の実施は日本銀行ではない場合も> ちなみに、為替介入の実施の是非を判断するのは財務省なのですが、為替介入の実施は必ずしも日本銀行とは限らないのです。日本銀行が海外の通貨当局に為替介入の実施を委託して行う場合もあります。