イギリスの石炭時代が終焉。増える環境デモでの逮捕者。なぜ矛盾は生まれる?
抗議運動の権利を脅かす、アンチ・プロテスト法とは
今年、イギリスの環境運動団体「Just Stop oil」のアクティビストの5人が、北海での新たな石油・ガス開発の中止を政府に迫るため高速道路を封鎖する抗議運動を企画した(実際は未遂)罪で逮捕、記録的な実刑を言い渡されました。(※5)リーダーのロジャー・ハラム氏は禁錮5年。その他の4人は禁錮4年とのこと。 数々の災害が絶え間なく襲いかかる中、当然ながら気候危機への意識はますます高まり、環境・気候デモは年々増えているそう。そしてデモ参加者が逮捕されるというニュースもよく目にするようにもなりました。 抗議活動は市民の大切な権利として認識されているイギリスですが、今年4月から政府は新しい法律を執行し、プロテスト計画者や参加者を取り締まるための権限が警察にさらに与えられました。そして、これは市民の抗議運動を権利を脅かすものだ、アンチ・プロテスト法だと、大きな批判を巻き起こしました。 地球温暖化による気候の急速な変化は、世界各地で大きな被害をもたらしています。 今年も今までは想像もしなかったような自然災害で家や生活、さらには命までもを失ってしまう人々がたくさんいたし、今後ももっと増えていくだろうと考えると非常に恐ろしい。 誇らしげに石炭火力発電の終焉を発表し、世界の気候対策リーダーになってきたいと言っている一方で、「今の対策では人々の安全を守るにはまだ足りない!」と必死に声をあげる市民を弾圧し、逮捕も辞さない政府の姿勢に矛盾を感じたりします。 気候危機は待ったなしにどんどんと加速していっている。気候の変化から逃れられる人なんていない。 (とはいえ、どうしても社会的立場の弱い人たちにより多く負担がかかる、非常に不公平な社会問題でもある) とても恐ろしいけれど、まだ食い止めるための変化を起こせる。未来を諦めるには早い。 そんなポジティブな気持ちを忘れずに行動をしていきたいし、もし自分がアクティビズムに直接参加できなくとも、署名に参加したり、環境ボランティア団体を金銭的にサポートしたり、間接的にでも参加できる方法はたくさんあるとと思います。 2025年も、まだまだ諦めない。 自分も社会も、ポジティブな変化の年にしていきたいな。 ※5 出典:https://www.theguardian.com/environment/article/2024/jul/18/five-just-stop-oil-supporters-jailed-over-protest-that-blocked-m25 イラスト・文/クラーク志織 編集/大森奈奈
クラーク 志織(イラストレーター)