震災直後の書店で、子どもたちは1冊の雑誌を回し読みし、笑い声を響かせた ありがとう「伝説のジャンプ」―仙台の2代目店主、62年の歴史に幕
副業だった医療事務を9月から本職に切り替えた塩川さん。新たな仕事に向き合う心構えは「誰かのためになりたい」。震災下の仙台に多くの笑顔をもたらしたジャンプを店で読んでもらった時と変わっていない。 ▽「つらかった日々が大事だった」。閉店して思うこと 9月14日、塩川さんは高校の同窓会に初めて参加した。今まで書店営業のために参加できていなかった。今は全国各地で暮らす友人らには「よくやったね」「お疲れさま」とねぎらわれた。閉店のニュースは全国に広がり、日本中から感謝の手紙や連絡が相次いでいるという。 かつての店は本や本棚が片付けられ、次の店舗が入るように改修工事が進む。「変わっていくのはさみしい」。塩川さんはぽつりと話した。 閉店後は本や客と向き合う時間がなくなった。空いた時間の使い方が分からず、知らない道をあてもなく歩いている。閉店前に「ワクワクする」と話していた本屋巡りを実際にやってみても、今は心が動かない。
閉店して分かったのは「つらかった日々が大事だった」ということ。夜は医療事務の仕事に駆け付け、日中は目をこすりながら店に立って常連客と雑談を楽しんだ多忙な日々は様変わりした。「閉店を選択したことは『自分の人生にとって良かったか』。ずっと悩んでいくと思います」