注目集まるパラスポーツ だが…競技によって人気に濃淡 部活やチーム発足で世間に普及するものもあれば、認知不足のものも
ボッチャのほか、視覚障害の有無に関係なく一緒にプレーできる「フロアバレーボール」も県内で徐々に浸透し、1年半ほど前に平均年齢20代半ばの新チームが誕生。県フロアバレーボール協会は全障スポでの正式種目採用を目指しており「20年余りの活動の成果が出てきた」と喜ぶ。ただ、健常者を呼び込むにはまだ認知度が不足しているという。
松本美須々ケ丘高校(松本市)3年の平林太一選手(17)がパリ・パラリンピックに出場するブラインドサッカーも、所属チームの「松本山雅B.F.C.」が選手集めに苦戦している。
「競技機会」「指導者の活躍の場」、確保が課題に
県障がい者スポーツ協会は競技指導者を増やそうと、年1、2回、日本パラスポーツ協会(東京)公認のパラスポーツ指導員を養成する講座を開催。県内で公認を受けた人は県障がい者スポーツ協会が把握するだけでも昨年末時点で556人に上る。ただ、それぞれ本業がある中で、地元で活動する場をどう確保するかが課題だ。
同協会は、全障スポに参加する選手の発掘と育成に加え、協会主催の体験会の周知やパラスポーツの普及につなげようと、昨年から、同協会ディレクターら3人が県内20カ所の特別支援学校を巡り、体育の授業や部活動を見学している。
ディレクターの山口博さん(62)=安曇野市=は、地元で競技機会や指導者の活躍の場をどう確保するか―といった課題は県内スポーツ全般に共通する課題と指摘。人材確保や環境整備を進め、パラスポーツを「28年以降も続けていける『生涯スポーツ』にしたい」と話している。
〈ボッチャ〉
重度脳性まひ者や四肢重度機能障害者向けに欧州で考案された。赤い球と青い球を6球ずつ投げ、白いジャックボール(目標球)に近い方が点を得る。手で球を投げられない選手は、介助者のサポートを受けながら「ランプ」と呼ばれる滑り台状の投球補助具を使ったり、球を蹴ったりしてプレーする。
〈フロアバレーボール〉
床との間に30センチの隙間ができるようにネットを張り、その隙間を通してボールを手で打ち合う。コートに立てるのは前衛3人、後衛3人の計6人。前衛は視力を問わずアイマスクを着け、後衛がボールや相手チームの動きを見て、かけ声や手拍子で指示を出す。