【2024年の景気予報】ますます加速する少子高齢化、中国の深刻な景気後退…日本経済の今年の展望は?〈経済評論家が解説〉
いよいよ2024年がスタート。緩やかな回復を見せてきた日本の景気ですが、今年の動向はどうなるのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
景気は可もなく、不可もなく…緩やかな回復を続ける見込み
景気は、緩やかに回復しています。月例経済報告には「景気は、このところ一部に足踏みも見られるが、緩やかに回復している」とありますし、コロナ慣れによる「リベンジ消費」やインバウンドの復活などが景気を押し上げているようです。 消費者物価が賃金以上に上昇しているため、消費にはマイナスの影響も懸念されるわけですが、いまのところ「綱引き」の結果は景気回復方向に向いているということなのでしょう。 景気が上を向いているときには、そのまま上昇を続ける力が働きます。物(財およびサービス、以下同様)が売れるから企業が増産する→そのために人を雇う→雇われた人の所得が増えるので消費が増える、といった具合です。 今次局面では、雇用が増えるというよりも労働力不足に対応して省力化投資が増えるというケースも多いでしょうが、いずれにしても景気にはプラスでしょう。 今年については、賃上げも予想されています。昨年は賃上げを上回る物価上昇で生活が苦しくなった人も多いでしょうが、今年はその分を取り返せると期待しましょう。そうなれば、消費は好調を維持できるでしょう。 あとは、景気の方向を変える力が外から働くか否かを考えればいいのです。ウクライナ情勢やパレスチナ情勢等、国際政治については筆者が予測することはできないため、本稿では「原油価格等に大きな影響を与えることは起きない」という前提で考えて行きましょう。 財政金融政策に関しては、景気に大きな影響を与えるようなことはないでしょう。景気が悪化しているときには景気対策が講じられますが、現在は景気対策を必要とするような経済情勢ではありません。インフレではありますが、インフレ抑制のために景気をわざと悪化させる必要までは感じませんし、そもそも輸入物価の上昇が国内物価を押し上げている時には財政金融政策でインフレを抑えることがむずかしいからです。 金融政策については、マイナス金利が撤廃される等の観測が出ていますが、それに興味を示しているのは株式市場や為替市場の人であって、国内景気を予想する際の材料としてはほとんど考慮する必要はないでしょう。株価や為替が暴落すれば別ですが、そこまでのことは起きそうもありませんから。 米国経済は、ソフトランディングするのか軽い景気後退に陥るのか、といったところでしょうから、いずれにしても日本の輸出が急激に増えたり減ったりすることは考えにくいでしょう。