北九州中学生殺傷 容疑者、事件後は人目避けるため外出控えたか
北九州市小倉南区のファストフード店で14日夜、中学3年の男女2人が殺傷された事件で、男子生徒(15)に対する殺人未遂容疑で逮捕された同区長尾2の無職、平原(ひらばる)政徳容疑者(43)が、少なくとも逮捕の2日前から外出を控えて自宅に閉じこもるような状態だったことが捜査関係者への取材で判明した。福岡県警は人目を避けていた可能性もあるとみている。 【図解】2人が刺された時の店内の状況 事件は14日午後8時25分ごろ、小倉南区徳力(とくりき)1の「マクドナルド322徳力店」で発生。レジの列に並んでいた市立中3年の中島咲彩(さあや)さん(15)が腹を刺されて失血死した。一緒にいた同級生の男子生徒は腰を刺されて入院したが、20日に退院した。 捜査関係者によると、事件後、平原容疑者が所有する黒のワンボックス車は店舗南側の駐車場から自宅方向へ走行。その後、同じ車で買い物に出かけたとみられ、立ち寄り先の防犯カメラに姿が映っていた。その際に履いていた黄色いサンダルや着衣が、事件発生時の目撃証言などと特徴が酷似。さらに県警は周辺の防犯カメラ映像などを解析し、現場から逃げた男性は平原容疑者だと特定したという。 県警は事件発生から3日後の17日から行動確認を開始。現場から約1キロ離れた一軒家で1人暮らしをしていた平原容疑者は捜査の動きを警戒してか、外出を控えて食事も連日、出前で済ませていた。 容疑者宅から約1・5キロ離れたそば店によると、平原容疑者は事件2日後の16日から3日連続で昼間に出前を依頼。16日と17日はいずれもカツ丼とざるそば、18日はカツ丼とごぼう天うどん、いなりずし、かしわおにぎりを注文したという。 出前を届けた男性店主によると、平原容疑者はスエット姿で、ズボンの一部は汚れているように見えたといい、「何か言っていたようだが、聞き取れなかった」と振り返る。薄暗い室内にゴミ袋が積まれていた。逮捕前日の18日に出前を届けた際、平原容疑者は落ち着きがない様子で、片手にビール瓶を持ったままで出前を受け取ろうとして瓶を落としたという。 県警は19日午前、立てこもり事件などを扱う県警捜査1課特殊事件係の捜査員ら約20人を派遣し、平原容疑者を男子生徒に対する殺人未遂容疑で逮捕。平原容疑者の自宅や車を家宅捜索し、男子生徒の証言と形状が一致する刃物や着衣、黄色いサンダルを押収したという。県警は中島さんへの殺人容疑でも捜査する。【河慧琳、山口響、井土映美】