四駆の欠点解消なるか マツダの“考える四輪駆動”i-ACTIV AWD
マツダは現在、四輪駆動のシステムのブラッシュアップを着々と進めている。昨年末マツダは、「i-ACTIV AWD」のメディア試乗会を北海道で行った。下はデミオから上はCX-5やアテンザまでマツダのAWDフルラインが用意され、多数のエンジニアが参加した技術説明会と、剣淵(けんぶち)町のマツダのテストコースの他、一般道も含めたテスト走行が行われたのだ。今回はそのi-ACTIV AWDの技術説明と試乗テストの様子をお届けする。 【写真】フルモデルチェンジたった2回 世界の名車「ジムニー」
四駆のタイプは3つある
あなたは四輪駆動に興味があるだろうか? 実は一口に四輪駆動と言ってもとても様々なシステムがあって、目的も考え方もそれぞれ違う。市販されているクルマの四輪駆動車を整理すると大きく分けて3つある。 四輪駆動の原初とも言えるのが、いわゆる「クロスカントリー四駆」だ。軍用に開発されたジープを源流とするこのシステムは、本来道なき道を走るためのもの。レンジローバー/ランドローバーもこのジープを参考に設計されているし、日本が誇るジムニーもまた同様だ。泥濘地や岩場など悪路の走破性を第一に設計され、その分環境の整った舗装路での性能には多少の妥協はやむを得ないと割り切られてきた。近年は日常使用に寄せた配慮が進み、だいぶ乗用車として使いやすくなりつつあるが、それでもまだ乗り心地や高速性能、燃費、騒音などでは不利な部分もある。 二つ目はクルマの機動性に特化した「速く走るための四輪駆動」だ。日産(スカイライン)GT-Rやランサーエボリューション、スバル(インプレッサ)WRXなどがこれに該当する。世代やクルマによって多少の差はあるが、基本的にはヨーレイトセンサーと呼ばれるクルマの自転速度変位を測定するセンサーの情報を元に、4つのタイヤに電子制御でトルクを配分することでクルマの向きを変え、コーナリング能力を高めるシステムだ。 さて上に挙げた2種類のシステムは、どちらもクルマとしてかなり特殊な用途のものだ。一般的に家族向けのファミリーカーとして選ばれるものではない。日本の四輪駆動の主流は「生活四駆」と呼ばれるものだ。荒野や砂漠を走るためではなく、サーキットでライバルを蹴散らすものでもない。降雪地帯で冬の移動の自由を確保するために、氷雪上でも走れる四輪駆動が切実に求められているのである。地域によっては降雪時の走破性が低ければ、場合によっては命に関わる。その一方、どんな雪国でも夏の間は普通の舗装路を走ることになるので、その場面ごとのバランスがエンジニアをずっと悩ませて来た。