誰をヘッドコーチに置くか

　阪神の新監督候補として藤川球児の名前が挙がっている。基本的に投手は監督には向かない。自分さえよければいいという個人主義者が多いからだ。捕手か内野手出身のように野球をよく知っている人間が監督をするほうがいい。藤川が監督に就任するなら、誰をヘッドコーチとして置くかが見どころだ。 　いずれにしても監督になるにあたって勉強しているかどうか、それが問題。勉強していなければ監督の首をすげ替えただけでほかの監督と同じ運命をたどる。革命など起こりようがない。 　今の名球会には野球界を抜本的に変える人間が見当たらない。それならOBクラブを充実させて今後の球界をどうすべきか考えたらどうか。 　私は昔、日米の現役監督、選手、関係者を一同に集めて野球サミットを開催した。もっと素晴らしい球界になるための議論を戦わせた。そういうことをNPBが立ち上がってやるべきなのだ。 　最後に、巨人・菅野智之が海外FA権を行使してメジャー移籍を表明したという。寝言を言うな。先発ローテーションをどうやって回るのだ。今年は中6日の六番手で毎週日曜日に相手投手の力が落ちる中で勝ったに過ぎない。メジャーの中4日、もしくは中5日で登板する体ではない。35歳というのは野球人として頭は冴えてくるが、肉体は衰える。アメリカをナメるなと言いたい。 ●廣岡達朗(ひろおか・たつろう) 1932年2月9日生まれ。広島県出身。呉三津田高、早大を経て54年に巨人入団。大型遊撃手として新人王に輝くなど活躍。66年に引退。広島、ヤクルトのコーチを経て76年シーズン途中にヤクルト監督に就任。78年、球団初のリーグ制覇、日本一に導く。82年の西武監督就任1年目から2年連続日本一。4年間で3度優勝という偉業を残し85年限りで退団。92年野球殿堂入り。 『週刊ベースボール』2024年10月21日号(10月9日発売)より 写真=BBM