廣岡達朗コラム「藤川球児は監督になるための勉強をしてきたのか?」
なぜ阪神はリーグ連覇を逃したのか
阪神・岡田彰布監督の退任が明らかになった。 2年契約の最終年だが、あれだけ優秀な監督だけに契約を更新しないとは何を考えているのか。逆に言えば、岡田監督は「これからいろいろ勉強して、次に弱いチームへ行く機会があれば、そこのチームを強くする」と言えば殊勲甲である。 【選手データ】藤川球児 プロフィール・通算成績 阪神は今年、なぜリーグ連覇を逃したのか。原因はファンにある。関東のファンと阪神のファンは違う。阪神ファン……厳密にいえば後援者は、優勝したらうれしくて言葉は悪いが男芸者のように選手を宴席に呼ぶ。選手は忙しくなる分だけ練習量が足りなくなる。これではひいきの引き倒し。「連覇しろ」と本気で願っていないのだろうと私は思う。 9月28日、ヤクルト対阪神戦(神宮)では2回表一死三塁から三塁走者の佐藤輝明が梅野隆太郎のショートライナーで帰塁できずに併殺に終わった。岡田監督からは「ゴロゴー」のサインが出ていたという。「当たりゴー」ならまだしも、ゴロゴーなら打球が跳ねた段階でスタートを切るべきだ。 しかし私が問題視したいのはそこではない。我々の時代には当たりゴーもゴロゴーもなかった。当然である。ゲーム前半に内野ゴロを打ったら三塁走者は絶対に本塁突入はできなかった。それだけ内野手は前に守っていた。それが今はどうだ。後ろに守って平気で相手に点をやる。それ以上の大量点を本塁打で取って勝とうとする欲張り野球。アメリカのマネをしているだけだ。1点を大事にする野球を日ごろからやらないから今回のようなケースが起こるのだ。 病気になったら運命のせい、他人のせいにするのは屁理屈。原因は自分にあると考えて生活を改めればいい。野球の結果に対しても同じだ。 選手の失敗はコーチの責任でもある。監督がにらみを利かせればコーチもよくなる。それを笑って済ませるからコーチも自分の責任ではないと思うのだ。今の指導者のように状態がいいときだけ選手をおだてているだけではダメ。悪いときに「こうしたらよくなる」と激励すれば強くなる。二軍に落とすのは最低だ。 私のアドバイスは選手のマネができるコーチになれということだ。その選手になりきって形態模写してみせれば相手も分かりやすい。今の自分の形はこんなに不細工なのか、といち早く理解できるのだ。