「どんな時もキャラクターの一番の理解者でありたい」声優・山下大輝さんに聞く、仕事をするうえで大切にしていること
『僕のヒーローアカデミア』(緑谷出久役)や『弱虫ペダル』(小野田坂道役)で知られる、人気声優の山下大輝さん。山下さんといえば、声優界きっての「肉好き」として有名ですが、そんな彼が出演するニコニコ生放送番組『山下大輝の肉ッキング』が今、「こんな料理番組見たことない~!」とジワジワ話題を呼んでいるんです。そこでレタスクラブWEBでは、公式YouTubeキャラクターの「みどりさん」と一緒に山下さんの番組収録にお邪魔して密着取材とインタビューを決行! 第1回目の今回は、声優という仕事の魅力についてお話を伺いました。 【写真(40枚)】優しい笑顔が印象的!山下大輝さん撮り下ろし ■声優志望者の多さにくじけそうになったことも…全員ライバルの養成所時代 ――山下さんは、『アラジン』のジーニーの声に憧れて声優を志すようになったそうですね。デビューするまでの道のりでは大変なこともあったのではないでしょうか。 山下大輝さん:そうですね。声優を目指し始めた頃、養成所に通っていたのですが、クラスの人数がものすごく多くて改めて声優って人気な職業なんだなと思い知らされました。ここにいる全員が声優になることを目指しているんだと考えると、プレッシャーが半端なかったです。 今って、声優の専門学校や養成所がたくさんあるじゃないですか。通っている人の年齢層もすごく幅広くて、脱サラして声優を目指している人もいたし、中学生ぐらいの女の子もいて。こんな多様な人たちの中で自分は自分の色を出して生き残っていけるのか、弱気になってしまうこともありましたね。 ――確かに、周り全員がライバルですもんね。そんな中でも心折れずにやってこれたのはなぜでしょうか? 山下大輝さん:声優志望者の数には圧倒されたのですが、「絶対に声優になりたい!」という思いだけは、他の誰よりも自分の方が強いと確信していたからかもしれません。たとえば授業で、来週までに台詞を覚えてきてねと言われたら、僕はもう死ぬ気で読み込むくらい、ひたすら前に突き進むのみでした。 ■一度の人生で何通りもの人生を楽しめる、声優というお仕事 ――声優のお仕事の魅力は、ズバリどんなところだと思われますか。 山下大輝さん:自分の人生は一通りしかないけれど、声優っていろんなキャラクターの人生を同時に生きることができるんです。物語の世界に入り込むことで、演じるキャラクターが自分だけでは絶対に到達できないようなところに連れて行ってくれるんですよね。いつもワクワクドキドキして、普通に生きていたら知らなかった感情を手に入れながら。一度の人生で何通りもの人生を楽しめるのが、声優という仕事の一番の魅力だと思います。 ――空を飛んだり、敵と戦ったり、異世界に暮らしたり…現実世界ではあり得ないようなさまざまな人生を自分ごととしてリアルに体験できるのが声優さんなのですね! 山下大輝さん:僕は昔から、自分じゃない何かになりたいとか、現実世界ではできないようなことがしてみたいとずっと夢見ていて。それはまさに子どもの頃に憧れていたアラジンのジーニーそのものなんですよ。ジーニーは、魔法を使ってどこにでも飛んでいけるし、なんだって生み出せる、僕の夢が具現化したような存在です。声優もある意味ジーニーと同じで、現実にはできないようなことが演技を通して叶えられる職業と言えるかもしれません。それは、キャラクターの人生を本気で生きているからこそですよね。 ■画面に写っていないところまで、キャラクターの背景を考え抜く ――山下さんがお仕事をする上で大切にしていることを教えてください。 山下大輝さん:僕が演じるキャラクターは、僕が一番の理解者でありたいと思っています。たとえ12話ある中の1話しか出てこないようなキャラだとしても、画面に映っていないところで彼は何をしていたんだろうとか、過去に何があったのだろうかとか、すごく深いところまで突き詰めて考えるんですよね。もしかしたらこの先すごく活躍するかもしれないし、そんなときに何を聞かれても答えられるようにしておきたいんです。 原作のプロフィールに書いていないバックボーンを埋めていくのは、楽しいけどすごく大変な作業です。でも、結局はそういうところが演じる中での自信に繋がっていくんですよね。「彼はきっとこう考えてこう動くに違いない」というのを自分なりにしっかり解釈して演じていくことが、キャラクターの持つ深みに繋がっていけばいいなと思っています。 ――なるほど! そういうところが、キャラクターの魅力をより引き出しているのですね。ちなみに、キャラクターを演じ分ける際に心がけていることはありますか? 山下大輝さん:キャラクターの性格や内面を読み込んでいくと、自然とその声が出てくるので、あんまり演じ分けようという意識はないですね。そもそも、なんで僕がオファーされたのか考えると、どんなキャラクター像が望まれているのか、ある程度予想はつけられるんです。あとは、見た目の情報からも、「年齢は上だけど童顔だから、声も大人っぽくせず若くしてみよう」とか、いろんなところからヒントを引き寄せています。そうやって、自分だからこそ演じられる部分を探りながら表現している感じです。 声優になりたい気持ちは誰よりも強かったと語る山下さん。夢を叶えた今も努力を怠ることなく、演じることに真摯に向き合い続ける姿が印象的でした。 タイムシフト期間: 2024年12月20日(金)23時59分まで ※前半はログインや会員登録なしで無料で視聴可能。後半はニコニコチャンネル「animelo+」会員限定コーナー 取材・文=宇都宮薫、撮影=奥西淳二