「退職させてください!」かわいがっていた若手社員“突然の退職劇” すぐ辞める社員に多い3つのパターンとは
人間には職業選択の自由があり、どこで、どのような仕事をするかを自由に決めることができるが、それは「個人人格」としての自分が決めている。今日も会社に行くことを決めたのは「個人人格」であるし、嫌いな上司の指示に従うことを決めたのも「個人人格」である。 一方、「組織人格」とは、組織の指示によってある役割を担うことを強制されて行動している人格である。 組織の目的がある以上、人は組織の目的実現に向けてその役割を全うしなければいけない。会いたくないクライアントに会って頭を下げているのは「組織人格」であるし、上司の指示に対して忠実に行動しているのも「組織人格」だ。
そして、『「個人人格」と「組織人格」は同時に存在している』というのが、バーナードの主張である。 もう、おわかりだろう。キャリア面談におけるBの発言は、「組織人格」としての発言だったのだ。Bは「上司には、前向きな姿勢を見せておくのが正解だろう」と、「組織人格」で振る舞っていたのである。 ■ビジネススキルとは「役割演技力」である 働く人が持つ2つの人格を、演劇の舞台にたとえてみたい。会社が「舞台」で、社員は「役者」になる。
舞台上では、役者たちが、自分の役が持つセリフや動きを表現することで観客を盛り上げる。一方、それぞれの役者は配役とは関係なく自分の名前を持ち、日々の生活を送っている。日々生活をする一人の人間が「個人人格」であり、舞台上で役を演じているのが「組織人格」ということだ。 話を会社に戻そう。営業アシスタントのCは、上司から「この資料、今日中に終わらせてね」と頼まれ、「はい、わかりました」と手際良く資料作成を進めている。だが、心の中では「この資料は別に来週でもいいでしょう……」「早く仕事終わらないかな」などと考えている。
てきぱきと資料を作成するCと、指示に不満を抱きながら終業時間を心待ちにしているCは、どちらも本物のCであり、一人の人間の中に同時に存在している。指示に不満を抱き、早く帰りたいと思っている「個人人格」のCが、舞台の上では「組織人格」で役割を演じているのだ。 こう考えると、ビジネススキルというのは、舞台上での「役割演技力」だと言える。 ■「個人人格」と「組織人格」のチューニングを 自由な意志に基づいて判断する「個人人格」と、企業の論理に基づいて行動することを求められる「組織人格」。「どちらを重視するべきか」という話ではなく、2つの人格のバランスが大切である。