おぎぬまXのキン肉マンレビュー【コミックス第38巻編】~新章突入! かつての『キン肉マン』を倒すためにゆでたまご先生が選んだ方法~
さて、冒頭の見開きページ、かつての様々な名場面が大きなキン肉マンの背後に描かれるとともに「超人とはなんぞや?」というテーマの語りから話は始まるわけですが、それはキン肉マンの祖父であるキン肉タツノリの言葉であることが数ページ後にわかります。 何気ない導入に見えますが、果たしてゆでたまご先生はこの時点でどこまでの構想をお持ちだったのか......恐ろしいことにこれが後々、とてつもなく大きな意味を帯びてきますので、特に初見の皆さんにはぜひ憶えておいていただきたいポイントのひとつであります. そして最初に登場するのは、キン肉マン......ではなく、テリーマンとミートなのも意外なところです。まずは彼らが「キン肉星王位争奪編」後のこの世界の様子、これまで争ってきた正義超人、悪魔超人、完璧超人の三属性の間で不可侵条約が締結される運びとなったことや、地球を離れ新大王としての公務に追われるキン肉マンの近況についてもおぼろげに語ってくれます。 さらに委員長からは、主だった正義超人たちがメディカル・サスペンションという体力回復装置に入っていて不在であることも。 こうしてすっかり平和になった世の中の様子が描かれる新章第1話ですが、その最後のページになってようやく、敵らしき超人が空から降ってきます。それがあのビッグ・ザ・武道(ブド―)と似た容姿を持つストロング・ザ・武道ら新手の完璧超人軍団、その名も「完璧・無量大数軍(パーフェクト・ラージナンバーズ)」でした。 そこから平和な世界は一転、彼らは正義超人たちに難癖をつけて、その場で大暴れします。この展開をリアルタイムで読んだときの感覚として、僕は正直それまでの『キン肉マン』とはどこかちがう......〝異質な怖さ〟を抱き始めていました。 というのは、どうも彼らの目的が漠然としていて、あえて明確にハッキリと語られていない気がしてならなかったのです。