のん×田中圭×滝藤賢一が考える批評との距離感「他者の評価よりも、まずは自分との戦い」
僕は遠藤みたいなマネージャーだったら嫌ですね(笑)
――ただ、そんな遠藤に対して加代子から「売れたのは私の力じゃん」「作家は操り人形なの?」「泥をかぶるのは私なんでしょ」といったリアルな言葉も飛び出しました。加代子と遠藤のやりとりを通して、どんなことを考えましたか。 のん 加代子は孤独な人なんだなと思いました。遠藤先輩とも絆はあるんだけど、書店めぐりに付き合ってくれず、思わずブチギレちゃうところがあって。東十条先生とも結託はするものの自分の作家人生を邪魔する宿敵であることは変わらない。味方がいるようで、実は心から信頼できる相手はいない。だから根本的な孤独が解消されることはないのかなって。そこはゼロから物語をつくる人独特の感性といいますか、演じ手とはちょっと別のような気がしました。 滝藤 僕は「売れたら事務所のおかげ。売れないのは自分のせい」と劇団時代に叩き込まれていますから(笑)。ただ、観ていても非常に核心をついた台詞が多いなというのは感じます。「なるほどな」と頷くようなやりとりがいっぱい出てくる。そこもまたこの作品の面白さのひとつだと思います。 田中 僕は遠藤みたいなマネージャーだったら嫌ですね(笑)。 のん 途中で遠藤さんが有森光来という別の新しい作家に入れ込むじゃないですか。あそこはやっぱり寂しかったですね。 田中 嫌ですよね。ずっと一緒にやってきたのに、いい人が見つかったら急にそちらに行ったら。「私は?」ってなりますよね。 ――加代子は東十条の辛辣な批評によって作家人生が一気に暗転します。批評というのも俳優のみなさんにはついて回るものですが、そうした批評や評価とどのように向き合っていますか。 のん 私はいい評価は自分で見ますけど、悪い評価はスタッフさんに見てもらっているんです。だから、いい評価しか知らない(笑)。 田中 それは大事(笑)。今はSNSからいろんな声が届きやすくなっていますけど、その届いている声も全体から見ればほんの一部でしかない、ということは忘れてはいけないなと思います。もちろんいいことを言われたらうれしいですし、悪いことを言われたら悲しいけど、あんまりそこに左右されないように。ネガティブな評価を見つけても、気にしないようにしています。 のん 私、褒め言葉も選り好みしちゃうんです。 田中 それもいいですね。 のん 言われてうれしいこともあれば、そうではないものもあるから。難しいですよね、人からの評価って。 滝藤 100個いいことが書かれていても、1個ネガティブなことが書かれていたら、そればかり気になってしまう。 田中 そうですね。 滝藤 だから見ないです。他者の評価も大事でしょうが、自分との戦いだと思ってやっています。 のん 私はスタッフさんがエゴサーチをしてくれていて。いいことを言ってくれているつぶやきをスクショして共有する用のグループLINEをつくっています(笑)。 田中 いいですね。前向きな気持ちになりますね。 のん だから何かあったら、それを読んでエネルギーをもらっています。 田中 僕もあまりエゴサーチはしませんが、作品の感想など気になったときは少し調べます。ただ、それも見るだけで、そこに書かれていることを拠り所にするようなことはないです。