ハリス陣営、大統領選後も献金呼びかけ 資金繰りに苦慮か
米大統領選で落選した民主党のハリス副大統領の陣営が、5日の投票日から2週間経過した後も支持者に献金を呼びかけている。出馬を決めてから約3カ月間で10億ドル(約1540億円)以上の資金を集めたが、選挙広告などで出費がかさみ、債務の返済に追われているとの臆測も出ている。 「まだ開票途中で接戦だったり、票の再集計が行われたり、司法闘争になったりする選挙がある。あなたがたの助けが必要です」。ハリス陣営は20日に支持者に送ったメールで、大統領選と同時に施行された連邦議会選や地方選に関連する費用の名目で、献金を募った。 献金は民主党全国委員会(DNC)、ハリス陣営、民主党の州組織に配分するとしている。こうしたメールは選挙後も、連日のように支持者に送られている。 ハリス陣営は10月中旬時点で、約1億1883万ドル(約183億円)の資金が手元にあった。しかし、選挙戦終盤では1日に複数の激戦州を回って集会を開き、選挙広告も活発に展開。こうした費用の請求がかさんでいるとみられる。 米メディアによると、ハリス陣営は「目立った債務や支払期限を過ぎた請求はない」と説明している。連邦選挙委員会(FEC)への収支報告の次回(12月)公表分でも「債務の記載はない」との見通しを示した。 一方で、AP通信によると、ハリス陣営は「年末まで報酬を支払う」と約束していた幹部スタッフへの支払いを止めた。DNCもスタッフに解雇を通告。労働組合は「ハリス陣営のスタッフには3週間分の給与に相当する退職手当があったが、DNCはスタッフに退職手当さえ支払わない」と反発している。 民主党側が資金繰りに苦慮しているとの臆測を巡って、共和党のトランプ次期大統領は自身のソーシャルメディアへの投稿で「民主党は記録的な献金を集めたのに、残金があまりないというのに非常に驚いた。この困難な時に、彼らを助けるために何でもすることを強く勧めたい」と皮肉った。【ワシントン秋山信一】