宇佐市の親子殺害に死刑判決、遺族「一言謝罪の言葉を聞きたかった」…住民「真実分からぬまま」
大分県宇佐市安心院町荘の民家で2020年、親子を殺害して現金を奪ったとし、強盗殺人罪などに問われた会社員佐藤翔一被告(39)に大分地裁の裁判員裁判で死刑判決が言い渡された2日、現場付近の住民や遺族らからは、被告側が無罪を主張し続けたこともあり、「謝罪が聞きたかった」「真実が分からず心配」との声が上がった。 【法廷画】判決を聞く佐藤被告=イラスト・構成 山下慧蔵
同地裁での死刑判決は1980年以来で、2009年の裁判員裁判スタート後は初めて。
事件では、山名高子さん(当時79歳)と長男の博之さん(当時51歳)が自宅で殺害された。近くの会社の男性社員(69)は「裁判まで時間がかかりすぎた。判決が出ても被害者は浮かばれない」と語った。
「事件を聞いた時は震え上がった。昼間は鍵をかけ、夜は廊下の明かりをつけて寝るようになった」。現場近くに住む女性(76)は、こう振り返り、「真実は分からないまま。心配は尽きない」と話した。
別の男性は「道路に知らない車が止まっていると気になってしまう。事件にはあまり触れたくない」と声を絞り出した。
公判では遺族も被害者参加制度で参加した。判決後、高子さんの次男(54)は「唯一、真相を語ることのできる被告の口からあの日、何があったのか、説明されることはなかった。母や兄の無念さを考えると諦めるわけにはいきません」、博之さんの長女は「(亡くなった)父に結果を報告しようと思います」、妻は「せめて一言謝罪の言葉を聞きたかった」と、代理人の弁護士を通じてコメントを出した。