「詐欺師みたいなことを言って恥ずかしくないのか」木原事件の元取調官が警視庁を“痛烈批判”するワケ
2006年4月9日に発生した、木原誠二前官房副長官(54)の妻X子さんの元夫・安田種雄さんの不審死事件、通称「木原事件」。週刊文春23年7月13日号の報道で実態が明るみに出てからまもなく1年が経過するが、新たな展開を迎えた。 【画像】亡くなった安田種雄さん ◆ ◆ ◆
佐藤氏が著書を著した3つの理由
事件を巡っては警察庁の露木康浩長官が昨年7月13日の記者会見で「事件性は認められない」と発言。これに真っ向から反論したのが、元警視庁捜査一課サツイチ(殺人犯捜査第一係)警部補の佐藤誠氏(65)だった。佐藤氏は18年の再捜査時にX子さんの聴取を担当した元取調官。一連の捜査に深く関わってきた。 23年8月3日号の週刊文春に佐藤氏は実名で登場。前出の露木発言に対し、「これは事件だ」と反論すると同時に、雑誌発売日の翌日には記者会見も開いている。 その佐藤氏が6月25日、初の著書『 ホンボシ 木原事件と俺の捜査秘録 』(文藝春秋刊)を上梓した。 18年の再捜査の詳細な過程と突然の中止の裏側、事件の重要参考人の中から消去法で“最後まで残る人物”の存在……。同書では佐藤氏の視点で事件が克明に綴られている。また、警察官を志した経緯や過去に手がけた事件など、佐藤氏自身のこれまでの歩みについても明かされる。 同書を著した理由は「三つある」と佐藤氏は言う。 「第一の理由は、露木長官が『事件性は認められない』と大嘘を吐いたことと、警視庁の国府田剛前捜査一課長が『自殺で矛盾しない』と発言したこと。これにはカチンときました」(同前) 第二の理由として挙げるのが「昨年の報道後の警察の遺族対応」だ。種雄さんの遺族は昨年10月、警視庁に刑事告訴状を提出。受理されたが、同年12月には「事件性なし」として検察に送付された。ところが、警視庁の担当者はこの際、「事件性なし」で送付したことを遺族に伝えていなかった。佐藤氏は憤る。
「警察は、再度説明を求めた種雄さんの遺族に『聞かれなかったから事件性がないと言わなかった』と言っている。そんなことはありえません。こんな詐欺師みたいなこと言って恥ずかしくないのか、と思った」 同年12月、遺族が担当検事と面会した際、種雄さんの母は検事に土下座し、「大事な大事な私の息子だった」と捜査を懇願している。これが第三の理由だ。 「遺族が土下座したなんて話、聞いたことがありません。警察がやるべきことをやっていないだけなのに、なぜ遺族が土下座するのか。させたのは露木長官と国府田前捜査一課長です。こんなことは絶対に許されない。全てを明らかにすべきだと思い、本に事実を記すことにしたんです」(同前)