『室井慎次』本広克行監督、君塚脚本は“聖書” 想像の数段上をいく内容「簡単には変えられない」
「いつもの僕だったら、すちゃらかコメディーでどうボケるかしか考えてないんですが、『室井』はモードを切り替えました。雪景色で家族の話だし、イメージとしてはどうしてもドラマ『北の国から』なんですよ。僕はフジテレビ大好きっ子でずっと観ていましたから」と思い返す。「雪には慣れてなくて、コントロールするのは苦労しましたけど、室井の最期のシーンは上手くいきました。綺麗でしたね。あの日、リアルに吹雪で、さらに我々が巨大扇風機を回したんです。ドローンオペレーターが『無理です!』っていうのを、『1回だけやってみて!』と頼み込んで、飛ばしてもらった。うまくいってラッキーでした。無欲だからよかったのかな。いいものになりますようにと、祈るように撮っていた記憶があります」
『踊る大捜査線』というだけでザワザワする
『敗れざる者』公開時に実施したシネマトゥデイのインタビューで、本広監督が語っていた「事件に関しても『こんな解決方法があるんだなあ』と驚いた」という詳細も明かした。それは、松下洸平演じる桜章太郎の箇所だった。「桜が『仮定の話なんですけど』と事件の全貌をしゃべっちゃうんです。2時間ドラマならクライマックスに断崖絶壁で繰り広げられるような壮大なドラマを(笑)。のちに『その仮定の話が正解なんだ!』ってわかる。事件の解決は尺を食いますが、これだとさらっと終わりますよね。自分が考えているより数段上の脚本だって思いました」 さらに本広監督は、地上波で再放送されていた「踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件」と『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』についても、「コメディーやっている傍らで、2・26事件の現代版みたいなことが起きていますからね。それに『THE FINAL』で明らかになる鳥飼誠一(小栗旬)の思いが、すでに『THE LAST TV』に台詞として出てきている。うわー! と思いました」と打ち明けた。「君塚さんに『すごいです』と言いすぎると『うるさい』と言われてしまうので(笑)、僕は勝手に仲間内でしゃべっています。僕は助監督をやっていたころからずっと君塚さんの脚本を持っていて、省略のしかたとか分析していました」