「託された後悔を伝えていく」池袋暴走事故で妻子を亡くした松永さん、沖縄で講演 飯塚受刑者が死亡
2019年に東京・池袋で乗用車が暴走し、11人が死傷した事故で、車を運転していた飯塚幸三受刑者(93)が10月に死亡していたことが25日、分かった。 【写真】中傷や経済負担…苦しみ語る 池袋事故遺族の松永さん、上原さん
事故で妻の松永真菜さん=当時(31)、県出身=と娘の莉子ちゃん=当時(3)=を亡くした拓也さん(38)は同日、西原町内で開催された「犯罪被害者支援を考える県民の集い」で講演し、「人の命を故意なく奪い、家族にみとられることなく刑務所で亡くなり、無念だったと思う。飯塚氏から託された言葉と後悔を伝えていきたい」と語った。 松永さんは5月に飯塚受刑者と面会。同受刑者が事故への後悔も示していたという。当時、受刑者は「(高齢者は)免許の返納を早くしてほしい」と言及していた。松永さんは誰もが事故の当事者にならない社会の実現に向けて活動を続ける考えを示した。 講演後に報道陣の取材に応じ、検察から約1カ月前に飯塚受刑者が10月26日に死亡したと知らされていたと明かした。「一番大事なのは社会が変わることだ。新たな犠牲や過ちをつくらないように、彼の経験や言葉を未来のための糧として、活動を続けたい」と話した。「(天国で)妻と娘に出会うことがあれば一言謝ってほしいが、それ以上の強い気持ちはない」
松永さんはX(旧ツイッター)にも「私たち社会がすべきことは彼を非難し続けることではなく、彼の経験から学び、同じような悲劇を繰り返さないための道を共に考えることだと思う」とつづった。高齢ドライバーの問題についても言及し、若年者と高齢者の対立構造になることを望まないとして「免許返納だけでなく、高齢者の方々が車に頼らず、安心して豊かな社会を築くかが、私たちの課題だ」とした。 真菜さんの父の上原義教さん(67)も松永さんと共に取材に応じ「(飯塚受刑者の)家族も大変な思いをしてこられただろう。今でも真菜と莉子を返してほしいと思うが、これからは、静かに安らかに過ごしてほしい」と話した。 (名嘉一心)
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