イスラエル人質4人奪還、住宅地に激しい砲撃を加えながらの救出作戦 パレスチナ人274人死亡
パレスチナ自治区ガザの保健省は9日、中部ヌセイラトでイスラエル軍が前日に人質4人を救出した作戦について、パレスチナ人死者が274人に上ったと発表した。8日の発表では210人としていた。負傷者は698人。 ガザ当局の広報によると、死者のうち64人は子ども、57人は女性という。 イスラエル軍がガザ中央部のヌセイラト地区から人質4人を救出した。映像はそのうち3人がヘリコプターから降りた瞬間だ。4人は昨年10月7日、イスラエル南部で開かれていた音楽祭会場から、イスラム主義組織ハマスの戦闘員に拉致された。その後ハマスが支配するガザでは、壊滅的な戦争が起きた。 解放された人質の1人、ノア・アルガマニさん。イスラエル当局は、父親と再会する様子を撮影した映像を公開した。 「殺さないで」と叫ぶアルガマニさんがバイクに乗せられ、ガザに連れていかれる様子を映した映像が拡散していた。 イスラエルのネタニヤフ首相は、救出された人質と面会するために病院を訪れた。 イスラエル軍は救出作戦の様子だとする映像を公開した。イスラエル軍のハガリ報道官によると、救出作戦は住宅地の中心部に砲撃を加えながら行われた。 同報道官によると、ハマスは戦闘員の監視の下、民間人に紛れ込ませるように人質を隠していたと説明。イスラエル軍はハマス側の抵抗に対し、空爆を含む反撃を加えながら作戦を遂行したと明らかにした。イスラエル警察の発表によると、この作戦で特殊部隊の隊員1人が死亡した。 一方ガザでは、これとは全く別の光景が広がっていた。保健当局者や地元医師らは、救出作戦が行われた地域でイスラエル軍の攻撃により、女性や子供を含む多数の犠牲者が出たとしている。 当局は、犠牲者のうち何人が戦闘員であったかは明らかにしなかった。 地元住民によると救助隊は、死傷者を近くのデイル・アル・バラー市の病院に搬送しようとしたが、多くの遺体がまだ路上に散乱していたという。 長年にわたり難民キャンプが設置されているヌセイラトは、イスラエルの激しい空爆にさらされた。 イスラエル当局によると昨年10月の襲撃事件の際、約250人が人質としてハマスにとらえられ、ガザへ連れていかれた。依然として116人の人質がガザに残されているが、政府はこのうち少なくとも40人が既に死亡したとみている。 パレスチナ側は8日、これまでに3万6800人以上が死亡したと発表した。