WECとフォーミュラEの”はしご参戦”はできるのか? ダブルヘッダー途中のドライバー交代めぐる投票を実施へ
フォーミュラEの各チーム代表は、WEC(世界耐久選手権)第3戦スパと日程が重複しているベルリンでのダブルヘッダーについて、2レース目にWECドライバーの参戦を許可するかどうか、投票で決定するようだ。 【動画】フォーミュラE、東京ePrixのオンボードCG映像を公開 フォーミュラEは第8・9戦としてベルリンePrixを開催する予定だが、同週末にはWEC第3戦としてスパ・フランコルシャンで6時間レースが行なわれる。 フォーミュラEとWECの両方に参戦するドライバーは複数おり、各ドライバーがどちらに出場するかを選ぶことになるだろう。 だが、WECのスパ6時間レース決勝が行なわれるのは5月11日(土)。強行軍ではあるがレース後にベルギーからドイツに移動すれば、5月12日(日)に行なわれるフォーミュラEのダブルヘッダー2戦目に参戦するチャンスが残っているのだ。 しかしFIAのレギュレーションでは、ベルリンePrixは2レース開催されるにも関わらず、単独イベント扱いとなっている。そのため、11チームの全会一致で決定されない限り、チームは2レース間でドライバーを入れ替えることができない状態となっている。 FIAの声明は以下の通りだ。 「ベルリンePrixは第5.5条に規定されているように2レースで構成される大会であるため、不可抗力の場合および第19.1条と第24.15条に従ってスチュワードの許可がある場合を除き、チェック終了後のドライバー交代は認められない」 「したがって、これらのドライバーに特別な許可を与える必要があり、競技者全員の同意が必要である」 今季、フォーミュラEとWECの両方に参戦するドライバーは、エンヴィジョン・レーシングのセバスチャン・ブエミとロビン・フラインス、DSペンスキーのジャン-エリック・ベルニュとストフェル・バンドーン、マヒンドラのニック・デ・フリーズとエドアルド・モルタラ、そしてアプト・クプラのニコ・ミュラーの計7人だ。 プジョーのドライバーであるベルニュとバンドーンはフォーミュラEを優先する予定であり、WECでランボルギーニのドライバーを務めるモルタラもベルリンでのダブルヘッダーに参戦する予定だ。 残る4人のドライバーはWECを優先すると見られており、5月12日にベルリンで開催されるレースに出場するため、全11チームの承認を求めている。 各チーム代表による電子投票の締切は、日本時間16日(土)23時59分までとなっている。 投票を前に、エンヴィジョン・レーシングのチーム代表であるシルバン・フィリッピはmotorsport.comに次のように語った。 「日程の重複は自分たちの足を撃つようなモノだと思う」 「こう言ってはなんだが、日程重複のメリットはあまり感じないが、デメリットはたくさんある」 「多くのドライバーは両方のレースを楽しんでいるが、それはレースのスタイルが違うからであって、どちらも同じように楽しんでいる」 「もしこのようなことが長期的に続くようであれば、私はがっかりするだろう。なぜなら各選手権において、見ていて、そして一緒に仕事をしていてとても素晴らしいドライバーたちが少なくなってしまうかもしれないからだ」 「昨年はこの状況が解決されると信じられていたが、そうはならなかった」 WECとフォーミュラEの日程が重複するのは、この10年で2度目だ。最初のケースは2017年。ニューヨークでのフォーミュラEダブルヘッダーとWECニュルブルクリンク6時間レースがバッティングしブエミはWECを優先。タイトル防衛のチャンスを失う結果となった。 投票の結果がいつ発表されるのか、正式な日程はまだ明らかとなっていない。
Stefan Mackley
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