内申点など日々の学習が重要な埼玉の高校入試。2024年の概況を栄光ゼミナール高校入試責任者に聞く
課外活動や資格を得点化するが、合否への影響は?
――公立高校の入試では内申点も重要になると思いますが。 松田:埼玉では中学3年間の9教科の内申点が評価されます。基本的にどの教科も同じ比重で、東京のように実技科目が2倍になるようなことはありません。埼玉の公立では学力検査は1度のみですが、選抜が2回行われます。まず第1次選抜を行い、それに通らないと第2次選抜という流れになります。第1次選抜では「学力検査:調査書」の点数比率が「4:6~6:4」、第2次選抜では「3:7~7:3」の割合で学校により比率が違いますが、難関校ほど学力重視になります。 埼玉の公立受験で特徴的なのは、「特別活動」「その他」といった課外活動の実績や、英検などの資格を得点化して評価することを明文化している点ですね。熊谷西は評定(内申点)が180点、特別活動25点、その他25点と両者の比重は低いのですが、市立浦和では評定が180点、特別活動120点、その他60点と、特別活動とその他を合わせた配点が評定と同じ配点になります。 この特別活動とその他の中身や、評価基準の詳細がわからないことが受験生からすると悩ましいところですが、そこまで合否に影響はないと推測されます。実際には学力検査と9教科の内申点が重視されています。
私立の併願受験では、事前に合格可能性について相談できる
――次に私立高校の受験についてお聞きします。埼玉は合格可能性について事前に相談できるそうですが。 松田:埼玉では、私立高校の合格可能性について事前に高校に相談することができます。中学の通知表の写しなどを持参し、受験生と保護者は、夏から冬にかけて私立高校と個別相談をします。各学校で設けている基準に現時点で達しているかなどを高校側から教えてもらうことができます。 こういった事前の個別相談がないのは慶應志木、立教新座、早稲田本庄の3校のみです。難関私立の付属校では事前相談がないということですね。 受験生からすると、当日一発勝負の受験は不安ですから、個別相談の時点での合格可能性を知ることができるのはありがたい制度だと思います。 首都圏のその他都県では、私立の併願校は内申点で合格していくので、内申点が高い生徒が有利になります。一方、埼玉は内申点だけでなく、部活動や生徒会活動などの学校活動や資格取得をはじめとする学習の実績などの基準も設けている学校がほとんどです。 また、東京都の私立高校の中には、中高一貫校で高校募集を停止している学校もあり、特に女子の上位層は受験できる私立高校の選択肢があまり多くありません。埼玉は中学校を設置していても、高校から入学ができる学校が多いのも特徴でしょう。 ※編集部注:内容に不正確な記述があったため修正しました。