ファーストリテイリング、“サステナブル素材”の自社基準策定 まずは綿で25年8月までに
先行してきたトレーサビリティーの強化
ファーストリテイリングでは17年以降、縫製工場や素材工場を集約して情報公開し、サプライチェーンの可視化を進めてきた。素材工場よりもさらに上流の紡績工場までさかのぼっての監査も、綿から始まって、ウール・カシミヤへと広げている。「カシミヤは全商品の工場・牧場を把握済みで、ウールでも同様の枠組みを進めている」このように、トレーサビリティーを強化してきたからこそあらゆる情報が可視化し、“サステナブル素材”の自社基準が策定できる。また、背景には各国で強まるサステナビリティ関連の法規制がある。環境保護関連の法規制では欧州が先行するが、欧州で決まったことを受け入れるだけでなく、ルール作りに主体的に携わっていくことにもつながる。「法規制はむしろビジネスチャンスととらえている。自社基準が評価されれば、業界内に広めることもある」という。
ファーストリテイリングは、11月13日に今年で4回目となるサステナビリティ方針説明会を開催。“サステナブル素材”の自社基準策定のほか、01年以降継続してきた難民支援やリサイクル活動、古着販売など同社が取り組む多様な活動を紹介すると共に、17年にスタートした“有明プロジェクト”における「無駄なものを作らない、運ばない、売らない」仕組み作りなどを紹介した。「(サステナビリティ実現のため)多岐にわたって活動してきたが、それがお客さまに適切に伝えられているかと言えばまだまだ。商品も本当にお客さまの役に立つものならヒットするように、本当に世の中の役に立つ活動は世の中に広がっていく。やるべきことを誠実に続けていく」と柳井康治 取締役グループ上席執行役員は話した。