国民民主党・玉木雄一郎×経済学者・高橋洋一「103万壁問題だけではない。ひっそり取られる、”ステルス増税”もぶった切る!」<緊急対談>
税収は4年連続過去最高。国の懐だけが肥えている
玉木:日銀も政府も長らくインフレ率2%を目指してきたはずですよね。それなのに、税収の計算をするときだけ「2%もいかない」って、どういうこと?(苦笑) 高橋:だから、決算で余りが出る。4年連続で税収は過去最高だったけど、経済的に何かいいことがあって上振れたのではなく、最初から下に見積もっているから余っているにすぎない。 さらに言えば、地方税収の弾性値は国より低い「1.05」で総務省がいつも計算している。もはやデタラメの極致だよ。弾性値を常識的な「2」にしたら、財政が破綻すると大騒ぎしてる知事はみんな安心しちゃうよ(笑)。 玉木:財務省のこうした対応はこれに留まりません。 高橋:「103万円の壁」は基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)を合計した額だけど、そもそも日本の基礎控除はあまりに低すぎる。 玉木:米国も英国も200万円を超えてます。基礎控除とは、生活コストを賄う所得からは税金を取らないということ。でも、年48万円で生きていけるのか。基礎控除の低さが生存権を脅かしている。憲法違反ですよ! 生活保護の生活扶助が月およそ10万円なので、せめて48万円を100万円程度に引き上げなければいけない。 高橋:消費税増税のときには、財務省は「欧州では20%を超えている」と散々言っていたのに、基礎控除についてはダンマリ。各国比較は財務省の得意技で、年中やっているのにね(苦笑)。 玉木:基礎控除は1995年に現在の38万円になる前は、何度も引き上げていたんです。1960年代なんて毎年のように、1万円引き上げられていた。かつて大蔵省(現・財務省)がやっていたんだから、やれよ、ということ。ところが、財務省寄りの著名なエコノミストや経済学者はすぐに「いや、昔と違って、今は財政が厳しいからムリ」などと言う。仮に財政難だったとしても、国民の生存権を脅かしていい理由にはなりません。 この熱き対談、後編の[財務省、財政タカ派の常套句「日本は財政難」は本当か?]に続く。 ◎プロフィール 経済学者 高橋洋一氏 嘉悦大学教授。東京大学理学部数学科、経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、内閣府参事官などを歴任。小泉内閣、安倍内閣で改革を主導する 国民民主党衆議院議員 玉木雄一郎氏 東京大学法学部卒業。1993年、大蔵省入省。米ハーバード大学ケネディスクール(公共政策大学院)修了。行政改革大臣秘書専門官、財務省主計局主査を経て政界に転身。衆議院議員6期。民進党幹事長代理、希望の党代表などを経て現職 (取材・文/齊藤武宏、撮影/林 紘輝(本誌))
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