国民民主党・玉木雄一郎×経済学者・高橋洋一「103万壁問題だけではない。ひっそり取られる、”ステルス増税”もぶった切る!」<緊急対談>
財務省は消費増税時も「影響はない」と大嘘
高橋:2019年に消費税を8%から10%に増税したときも、財務省は同じ短期モデルを使って「増税しても影響はない」と言っていたが、実際は景気が大きく落ち込んだ。「あのときもこの短期モデルを使って、大嘘ついただろ!」と言ってやれば、シンプルでもっとも説得力のある反論だよ。 玉木:あの短期モデル、結構、外しているのに一度も検証されてないんですよ。 高橋:当たるわけないよ。大蔵省時代、あまりにも酷いから私が修正モデルを作ったんだけど、上司は「そのままでいいよ」と言っていた(苦笑)。 玉木:正直、私も消費増税を過小評価していたところがあります。マクロ経済で怖いのは、足し合わせたときの影響がバカにならないところ。 高橋:みんな消費増税後のコロナのせいにしているけど、景気悪化の原因は増税だよ。でも国民民主党の減税は、もっと効果が大きいんでしょ? 玉木:爆上げになります! 財務省が試算に使ったモデルは、消費増税の効果を低く見積もった。同じように、我が党が求めている減税の効果も低く見積もっている 高橋:要するに、増減税の影響が結果に出ないモデル。 玉木:減税の財源について、国の税収の上振れ分があるよねと財務省に聞いたら「いや、1年間だけです」と言う。でも、今年は3.8兆円上振れて過去最高の税収。昨年が2.5兆円、一昨年が5.9兆円……上振れすぎだろ! 原因は、税収弾性値(名目GDPが1%増えたとき、税収がどの程度増加するかを表す)を、インフレ時代に突入しているというのに「1.1」と低いまま計算しているから。例えば、税収弾性値が財務省の言うように「1.1」なら、名目GDPが3%伸びたら、税収は3%×1.1=3.3%伸びる。 ところが、過去20年の弾性値の平均は「2.76」。割合で1.6%くらい、額にして約4兆円も毎年の税収を常に過少に見積もっている。この前提に立てば、そりゃ減税の財源なんてありませんよ。 高橋:インフレ時には税収弾性値も高くなる。当然、結構な自然増収になるわけだ。つまり、自然増収は安定財源なんだよ。後藤氏は経済再生担当相なのに大丈夫か?(笑)。でも、財務省の言うことを鵜呑みにしないで、疑問を感じる政治家もいるんだよ。 第2次安倍政権のとき、安倍さん(晋三首相)がいきなり電話をかけてきて、 「高橋さん、税収弾性値っていくらなの? 財務省が1.1と言うんだけど、本当はどうなの?」と聞いてきた。 どうやら、税制についての会議の最中、財務省の説明を疑問に思って、電話してきたらしい。「普通、2~3でしょ」と答えると、安倍さんは「ありがとう」と言って電話を切ったんだけど、私が本当のことを言ったからか、受話器越しに会議がザワついていたよ(笑)。