「防災にまつわる記念日」から考える“周年”報道の大切さ「能登半島地震1年」「阪神・淡路大震災30年」
■能登半島と良く似た「伊豆半島」50年前の大地震 能登半島と地理的な特徴がよく似ている静岡県の「伊豆半島」。今から50年前の1974年5月、M6.9の直下型地震が襲い、南伊豆町で震度5を観測した。「伊豆半島沖地震」だ。地震の揺れと山崩れ、崖崩れで南伊豆町や下田市の海沿いを中心に甚大な被害が発生し、30人が死亡した。 2024年7月、南伊豆町役場で開かれた「伊豆半島沖地震から50年 防災シンポジウム」。パネリストとして登壇した池野玉枝さんは、最も被害が大きかった中木地区に住み、午前8時半すぎ、勤務先の南伊豆町役場で大きな揺れを感じたという。 <池野玉枝さん> 「大きな揺れがあって、すかさず机の下に潜り込みました。職場は金属製の大きなロッカーや書棚がたくさんあるところだったので、よく無事でけがもなかったなと思います」 池野さんは、役場にいたことから情報が早く、実家のある中木地区で火事が起きていることが分った。家族のことが心配になり、同じ地区に住む同僚とともに家を目指した。途中で車を置いて、崩土を何か所も乗り越えながら、地区に入った。 家族は無事だったものの、同じ地区で多くの人が亡くなり、涙なしでは語れない話が沢山あるという。文字では残されていない話があり、語り継いでいきたいと話す。 <池野玉枝さん> 「風化させたくないとか、語り継ぐとかっていうことには私もすごい賛成。だんだん記憶が薄れてくるのは、その時の恐怖心も薄れてくること。本当に災害は恐ろしいし、悲しい気持ちを50年経っても持っている人がたくさんいる。できることを少しずつやるという意味で区切りは大切」 ■9月1日「防災の日」に“猛暑”で訓練ができない!? 9月1日は「防災の日」。2023年で100年の節目を迎えた「関東大震災(1923年)」にちなんだ記念日だ。震災を教訓に広く国民が災害についての認識を深め、備えようと1960年の閣議決定で定められた。「防災の日」前後の8月30日から9月5日までは、国の「防災週間」とされ、全国各地で防災訓練などが行われている。