「カムカムエヴリバディ」ロバート再び! 大活躍の村雨辰剛さん、プロテインと庭師な日常
もちろん「庭師」は変わらず天職
「庭師の仕事はやめてしまったんですか?」 最近ではメディアへの出演が増えているからでしょうか、そう聞かれることがあります。 いいえ、もちろんやめてはいません。庭師としての仕事も続けていますし、庭造りへの情熱は変わらず持ち続けています。 現在も、造園会社などには所属せずに自営業として庭師の仕事を行っています。 それに加えてメディアの仕事があり、また、プライベートでやりたいこともたくさんあります。それらのバランスをとりながらの毎日なので、会社員のように決まった時間や曜日に働くというスタイルからはかけ離れた生活です。 曜日の感覚もほとんどありません。その日によってスケジュールが大きく違う。「週末」になったら休める、なんてこともありません。 そういう状況なので、庭師の仕事は、今は「紹介」の案件だけを受けています。急ぎの案件などは受けることが難しいので、スケジュールについては最初にきちんとお話をして理解してもらうようにしています。
現在、庭造りを任せてもらっているのは神奈川のお客様です。 お話をいただいたときには連続ドラマ出演が決まっていたこともあり、かなりお待たせすることになりそうでした。「それでもかまわない」とご理解いただき、お引き受けしました。 メディアの仕事をいつも優先しているということではなくて、庭の仕事が先に入っている場合は事務所に「ここには仕事を入れないでね」とお願いしています。 庭師の仕事を始めた頃は、僕も頭が硬くて「やるなら一筋に」と考えていました。 だけど、そのうち柔軟な考え方に変わっていきました。 一つの分野だけに固まってしまうのは、今の時代には合わないんじゃないか。他での活動が、かえってプラスになることも多いのではないかと思ったのです。 メディアで活動しているからこそ、お客さんとのコミュニケーションもとりやすい。いろんな活動で得た刺激やヒントを庭造りに活かすこともできる。すべての活動はつながっていて、お互いに補い合っていると感じます。 「この道一筋」というやり方を否定はしません。それはそれで素晴らしいと思います。だけど、僕には今のようにバランスをとってやりたいことをやっていくのが合っているようです。 庭師という職人は、物作りをしているというよりは、様々な素材を集めて一つの作品をつくりあげる、外空間のスタイリストのようなものです。 石も木も灯籠なども、自分で作るわけではありません。イメージに合うものを探して、どこかから集めてきて「庭」という一つの空間をつくります。そのためには、いろんな経験を通じてインスピレーションを得る必要があり、普段から庭めぐりをしたり日本文化に触れたりすることを大切にしています。 メディアの仕事では、そういった機会も多くいただけることがとてもありがたいです。 いつか、受注ではなく自分の作品としての庭をつくって、みなさんに見てもらいたいと思っています。僕がつくった庭を通じて日本の良さを感じてもらったり、新たな魅力を発見して驚いたりしてもらえるような庭を、作品として残したい。 理想は、自分で土地を買って、思い通りに自由につくること。それによってお金を得るというような話ではなくて、自分が好きだと思えるものをつくって披露するのが夢です。 僕にとって「庭」はお金を得る手段ではなく、やりたいことを表現するためのメディアなのです。これは「役者」の仕事にも通じる考え方で、僕の中では庭と役者は「表現する」という点でつながっています。