《ノーノー達成》巨人・戸郷翔征(24)はなぜ“ドラフト6位”の低評価だった? 日本代表を圧倒も…関係者「あんなフォーム、怖くていじれない」
独特のフォームゆえか…ドラフトでは高評価ならず
その秋、本番のドラフトで、その巨人から6位に指名された戸郷翔征。 「私、見たことないんですけど、戸郷って、どうなんですか?」 大学野球の取材に出かけた地方の球場で、巨人のあるスカウトの方から、そう問われたことがある。やはり、心配されていたのは、その「ブン投げフォーム」だった。 「今年の高校生でいちばん打ちにくい投手だと思います」 そんな答え方をしたと思う。腕の振りの角度は違うが、戸郷投手のボールの怖さ、打ちにくさには「中日・浅尾拓也投手(※現・中日コーチ)」のそれが重なっていた。 一瞬遅れる腕の振り、勝手に激しく動くクセの強い球質、迫って来る怖さとスピード。大学時代の浅尾拓也投手の全力投球を何度も受けていた私には、戸郷投手の「威力」が疑似実感として伝わっていた。 延岡市の郊外、聖心ウルスラ高の野球部グラウンドは、山間の小高い場所にある。そこへ向かう長い山道……ここを走り込んで鍛えた下半身だから、あの「ブン投げフォーム」でもバランスを作れた。現場に行って、納得したことがある。 プロに進んで、ほどよくフォームの枝葉をそぎ落とし、新たな「戸郷スタイル」を構築した戸郷翔征投手。もう「ブン投げ」という人は、誰もいないだろう。 オリジナリティの中にある合理性。 大きなテークバックというのは、コントロール不安や肩・ヒジに負担をかけると、悪者扱いされる傾向がある。だが、戸郷投手の場合はテークバックの軌道が大きいので打者の間合いの取り方が難しい上に、肝心のリリースのタイミングがピタリ合っている。だから、そこまで制球破綻もない。(※5月27日現在、58イニング3分の2で14四死球) なによりマウンド上でいかにも気分よく投げているのがわかる戸郷投手の淡々とした表情が一見独特に見える投球フォームのフィット感を表している。 戸郷投手のフォームは「どこかで誰かに改善されたのか?」いろいろ訊いてみたのだが、 「誰かが直したとは、聞いたことないですね。徐々に長いイニング投げるようになった中で、球数が増えても体の負担にならないように、自然とアクションロスやパワーロスが減ってきた。本人が気づいて、少しずつマイナーチェンジしてきた結果ではないですか」 返ってきた答えを総合すると、こんな感じになる。 中には、「あんなフォーム、怖くていじれないですよ!」という本音に笑いをまぶしたような答えもあった。
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