公立でも全国で勝つために「指導者がいない時間こそ大事」33年ぶりインハイ出場の沼田高校卓球部
33年ぶりに掴んだインターハイ学校対抗の全国切符
――今年のインターハイ群馬県予選では33年ぶりの優勝で学校対抗の全国切符を掴み取りましたが、振り返ってみていかがですか? 宮澤淳監督:インターハイ予選のちょうど1ヶ月前、関東大会の群馬県予選で優勝することができました。しかし、過去33年間の歴史を振り返った時に、関東大会の予選は優勝していても、インターハイ予選で負けたことも多くありました。 2-0からの逆転負け、あと1点とったら勝ちという場面からの逆転負けなど、惜しくも全国に届かなかった数々の歴史を知っているだけに、予選2週間前からは負ける夢とオーダーが外れる夢しか見なかったですね。 ――監督として選手たちにはどのように声をかけたのでしょうか? 宮澤淳監督:33年分のいろいろなOBたちの思いはありますが、今の生徒たちにとっては、このチームで臨む最初で最後のインターハイ予選です。 「自分たちの試合だけに集中しよう。プレッシャーは俺が1人で感じればいいから。のびのびやってこい!」というのは試合前からずっと言ってましたね。 ――実際に選手たちはのびのびプレーして、優勝できたわけですね。 宮澤淳監督:本当にこの代でのインターハイに懸けていたところもあったので、県外への遠征や大学への練習にたくさん行かせてもらいました。最後は、選手も自信を持ってプレーできたと思います。 ――優勝が決まった瞬間はどういう気持ちでしたか? 宮澤淳監督:ラストの5番で1年生の長尾咲陽人が今回勝ってくれました。 最後の1点を取ったとき、自分も飛び上がろうと思っていたのですが、安堵感が強くて、ゆっくり立ち上がったら自然と涙が出てきました。 勝って泣くとは思ってもみませんでしたし、生徒からも散々「泣いてるんですか!?」っていじられました(笑)。 ――インターハイ本戦でも学校対抗の部で1勝をあげて、続く2回戦でも強豪校に肉薄と活躍が目立ちました。 宮澤淳監督:本当によく戦ったと素直に思っています。 特にツインエースとして戦ってくれた3年生の後藤嘉希と1年生の長尾咲陽人は、全国でも十分戦える選手だと思って、そのつもりで指導もしてきました。普段から「群馬県内で勝つだけではなくて、全国で勝つことを意識してやるように」というのは口酸っぱく言ってきました。 宮澤淳監督:私が高校の時は、強豪校の選手に名前負けをしてしまうことが多々ありました。ただ、駒澤大学に進学してからは、そういった選手に部内での競争や対外戦で勝たないといけない環境でした。 普段からそのレベルを目標にして4年間練習をしていると、強豪校出身の選手にも勝てるようになり、リーグ戦や全国大会に出られたという成功体験があります。 生徒たちには自分の経験も話して、「今のうちから全国で勝つつもりで練習すれば絶対に勝てるから」と伝え続けてきました。その成果が少し出たかなと感じています。