公立でも全国で勝つために「指導者がいない時間こそ大事」33年ぶりインハイ出場の沼田高校卓球部
2024年のインターハイ群馬県予選を33年ぶりに制した沼田高校卓球部。公立高校ながらインターハイの舞台でも1勝をあげ、1年生エースの長尾咲陽人は、シングルスでベスト32に入るなど、存在感を放った。 チームを率いるのは、沼田高校卓球部OBで、現在は実業団・JR東日本高崎で選手としてもプレーする宮澤淳監督だ。 今回宮澤監督に、卓球部の魅力や公立高校ならではの工夫などを伺った。
監督は地元で育った沼田高校のOB
――まずは宮澤さんの卓球の経歴をお伺いできますでしょうか。 宮澤淳監督:私は群馬県沼田市で生まれ、小学校1年生から薄根卓球というクラブで卓球を始めました。 その後、地元の中学校、沼田高校の卓球部を経て、駒澤大学の卓球部に所属。大学時代は強豪ひしめく関東学生リーグ1部で戦っていました。 大学卒業後はすぐに地元に戻りたかったので、JR東日本高崎に就職。会社側に卓球部を作っていただき、現在も働きながら現役選手として活動を続けています。 ――現役で選手を続けながら、母校の沼田高校の監督になられたのですね。 宮澤淳監督:沼田高校卓球部には外部指導員という形で携わっています。 元々、私が高校1年の頃から、本多清男さんという方が外部指導員として指導にあたっていました。本多さんは10年以上にわたって部を率い、多くの全国レベルの選手を育ててこられましたが、2021年に病気で亡くなられてしまいました。 当時のチームには実力のある選手が揃っていたこともあり、なんとか力になりたいという思いがありました。そんな中、本多さんの奥さんやOB、保護者の方々からお声がけいただき、そのまま私がチームを引き継がせていただいたというのが、監督就任の経緯です。
指導者がいない時間の練習こそ大事にする
――宮澤監督が高校生のときは、どういう雰囲気の部活でしたか? 宮澤淳監督:高校から卓球を始めた部員もいてレベル差はあるものの、本当に和気あいあいとみんなで楽しくやっていました。 個人戦で上位に勝ち残った選手がいれば、みんなで応援するような、よくある公立高校の部活という雰囲気でした。 ――指導者として率いる立場になり、今の卓球部の特徴や雰囲気をどう見ていますか? 宮澤淳監督:私は仕事をしている関係上、毎日練習を見に行けるわけではありません。 そのため、生徒たちが自ら考えて練習しないといけない時間が多くなりますが、自主的に練習に取り組める自立した選手が多く育ってきている印象です。 ――毎日は練習を見られない中で、指導時に意識していることはありますか? 宮澤淳監督:練習に参加できる日は、様々な練習メニューやトレーニング方法を紹介しています。その際、必ずトレーニングの意図やポイントを解説していて、選手はそれらを理解するところからスタートします。。 なぜそれが必要かというと、選手たちが練習の意図をしっかり理解していれば、私の不在時も「今、何をすべきか」自分たちで考えることができるからです。 普通の公立高校である以上、日々の練習時間は限られています。指導者がいない時間の練習こそ大事にしてほしいと考えています。