「松本人志をTVに出すな」が半日で10万超え…「活動再開は決まり次第」とした吉本興業と世間の大きすぎる温度差
■芸人仲間や後輩は「和解」と言い換え、松本の復帰を歓迎 実質、性加害疑惑を認めた以上、イメージが最重要のタレント活動は無理筋では、と思うのだが、吉本芸人は諸手を挙げて歓迎ムードである。「裁判終結」という謎の新語をつくり出し、事実を塗りかえようとしているかのようだ。事実、芸人のほんこんはテレビ番組で「和解では」と語っている。和解など成立していないにもかかわらず。 これらはあたかも性加害などなかったかのように、もしくはすっかり問題が解消したかのようにイメージ操作する、被害者への二次加害である。こんなやり方がまかり通っては、今後、著名人による性被害が生じた際に、申し出ることをためらう人が増えるのではないかと懸念される。 松本人志は、実は、被害女性に対してプレスリリース内で謝罪をしていない。 吉本興業のリリースには、「ファンの皆様、関係者の皆様、多くの後輩芸人の皆さんに(中略)お詫び」とある。つまり自分の仲間うちに向かってのみ、頭を下げているのだ。 「(会合に)参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」とも書いてあるが、このようなif構文は謝罪とはいわない。被害者を「それはあなたの『お気持ち』でしょう」と軽んじているようにさえ見える。 松本が「事実無根」と言い張り、文春を提訴したことにより、被害女性が苛烈なバッシングに遭ってきたことについては、当然、言及すらしていない。 それどころか、元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔弁護士によると、「裁判が始まると、松本氏側は『告発女性の身元を明かせ』と繰り返し要求した」。氏名はもちろん、LINEアカウントまで聞き出そうとし、文春側が拒否すると、女性の個人情報がネットで暴露された投稿まで、証拠として出してきたという。 【参考記事】ENCOUNT「松本人志が文春裁判で“常識”を超えて「失ったもの」…記録を閲覧してきた弁護士が指摘」 ■松本人志の不在で、逆に若手芸人が活躍できた2024年 もし松本が、性加害疑惑を抱えたままでも芸能界復帰を望むなら、少なくとも吉本興業の責任者とともに記者会見を開き、事実を説明することが求められるだろうし、一定期間の謹慎(活動休止ではなく)、番組の降板、また被害女性らに対する謝罪と償いは、必須ではないか。 2024年はテレビで多数のレギュラー番組を持っていた松本人志のいない1年だったが、ファンたちによる「まっちゃんがいなくなったら日本のお笑いは終わり」の大合唱は、完全に杞憂(きゆう)だったことが証明された。 不祥事発覚後も、出稿済みだったためか、Amazonは2024年に入ってもしばらく松本を交通広告等に出しつづけたが、その番組もいまやプライムビデオのトップ画面からは消え、代わりに千鳥がMCを務める大型番組が始まった。「顔」が取って代わられたのである。