レンジ内の汚れが発火、アルミホイル温め溶解…急増する電子レンジ火災への対処法
11月9日は「119番の日」――。 防災意識を高めるために消防庁が毎年告知しているもので、同日から15日は秋の火災予防運動を実施。女優の河北麻友子(32)も“防災”を呼びかけているが……。 【グラフあり】電子レンジ火災の件数 「そんななか近年急増しているのが『電子レンジ火災』です。2022年までの10年間で東京消防庁管内で起きた電子レンジに関連する火災は、約3倍に増加しているんです」(全国紙社会部記者) 東京消防庁発表の「電子レンジ火災の件数」によれば、2013年の29件か2022年は84件と急増しているのだ。 製品事故の情報を調査・分析して、情報発信するNITE(製品評価技術基盤機構)製品安全広報課の安元隆博さんが話す。 「NITEに通知される製品事故情報のうち、電子レンジにまつわる事故は年間30件近くあります。最近はSNSでも『ヒヤリハット』報告が増加しているようです」 NITEに2023年までの5年間で寄せられた電子レンジ事故149件中、消火活動が必要となった「火災事故」は132件も起きている。 「電子レンジから出火して、やけどを負ったり周囲に燃え移ったり、建物が全焼したケースもあります。 治療が30日以内の軽傷事故が6件、治療に30日以上かかった重傷事故が1件、死亡事故も1件起きているんです」(安元さん) なかには、「取扱説明書や商品パッケージに記載の注意事項をよく確認せずに使用して」事故に至るケースがあるという。 「タイパ(=タイムパフォーマンス)志向の高まりで、手間をかけない『ずぼら調理』が人気ですが、誤った使用方法が大きな事故につながる恐れがあります」 ■火事で部屋が全焼。レンジの中からカップ麺の容器が NITEに寄せられた事例を、安元さんの解説で見ていこう。 【事例1】死亡事故 2021年9月、北海道で電子レンジとその周辺を損傷する火災が発生し、2名が死亡した。 北海道ニュースUHBによれば、「電子レンジが爆発した」と北見市のアパートの住人から通報後、2階の部屋がほぼ全焼し、親子とみられる女性2人が死亡。 その後の調べで、居間に置かれていたレンジの中から「カップ麺の容器」とみられるものが見つかっていたという。 「商品パッケージには、『電子レンジ調理不可』などと注意事項が記されている場合があります。取説と同様、よく確認しましょう」 【事例2】重傷事故 2021年9月、電子レンジ付近から出火して周辺を焼損、1名が重傷。 「パックご飯をあたためる際、長時間加熱しすぎて火災が発生したと思われます。気道にやけどを負う重傷だったと報告されています」