【MEGUMIは上手な歳のとり方を教えてくれる人】“上手に歳をとれる人”と“上手に歳をとれない人”の運命〈後編〉
人気連載「齋藤薫の美容自身 STAGE2」。今月のテーマは「“上手に歳をとれる人”と“上手に歳をとれない人”の運命」。
MEGUMIは美容上の、上手な歳のとり方を教えてくれる人
そうだから一方に、安室奈美恵のように姿を消す歳のとり方もある。そもそも歌姫は歳のとり方が難しく、マドンナやブリトニー・スピアーズのように、極端な方に振れていくしかない仕事。もちろん浜崎あゆみのように頑張るケースもあるが、きっぱりと辞める選択もディーバの場合はありなのだろう。それも安室奈美恵のセンスのすごさの一つだったのかもしれない。 おそらくあの人は、いくつになろうと素敵に歳を重ねるのだろう。それを見られないのは、なんとも残念だけれど、それも含めてこの人のバランス感覚なのだと思うとあっぱれと言うしかない。そう、上手に歳を重ねるには無類のセンスのよさというものが重要なのである。さらに言えば、客観性。自分がどう見えているのかを無意識に読み取り、時代もニーズも読み取る視力を持つことなのだ。要は人間的センスの問題。 ここまで見てくると、上手に歳をとるって本当に難しい。もちろん一般人の場合はまた話が違ってくるが、あくまで共通するのは、歳をとるほどに尊敬されるか愛されるか、はたまた人を癒やして安心させるか、どれかはクリアしないと。どれも得られぬ歳のとり方は、やはり何かが間違っている。歳をとるほど孤独になり孤立していくのは、どんな世界だろうと一番哀しいことだから。 女性の場合はビジュアル要素が多すぎて、上手下手が見分けにくいが、石田ゆり子、天海祐希といった異様に好感度の高い50代は、まさしく美しく歳を重ねた典型的な例なのだろう。ちなみにいくら若く見えても、頭の中が美容だけというのは大人として上手な歳のとり方ではない。そういう意味で、MEGUMIのように多くのキャリアを積む過程で“劣化”と揶揄された意趣返しで美容に邁進した人の、視野の広さとエネルギーには多くの世代が共感を覚えるのだろう。“美容【姉】”として下の世代を勇気づける新しい存在は、これまでにない年齢の重ね方を教えてくれる。 これからどんどん大人人口が増えていく時代、もはや半数以上が50代以上になる国だ。そんな中で、上手に歳をとれない大人が増えると、それだけで日本はまずい。間違いなく人間関係が悪くなり、健全な社会がつくれない。だからGACKTのようにドラキュラのような歳のとり方でもいい、尻上がりに、裾広がりに面白く、魅力を増していく大人になるべく心がけよう、一人一人が。 そう考えると、不思議に歳をとるのが怖くなくなる。上手に歳をとると、人生はとんでもなく輝くのだということに早く気づくべきである。 撮影/戸田嘉昭 スタイリング/細田宏美 構成/寺田奈巳 Edited by 加茂 日咲子
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