「握力が弱いと早死にする」研究で明らかに “長生きできない”可能性がある握力の基準とは
アメリカのノース・ダコタ州立大学らの研究グループは、「アメリカに住む50代以上の人の握力を測定した結果、握力の弱い人は何らかの原因で早期に死亡するリスクが高くなる」という研究結果を発表しました。この内容について眞鍋医師に伺いました。 【イラスト解説】寿命を縮める“身近な食べ物”
研究グループが発表した内容とは?
編集部: アメリカのノース・ダコタ州立大学らの研究グループが発表した内容を教えてください。 眞鍋先生: 今回紹介する研究報告は、アメリカのノース・ダコタ州立大学らの研究グループによるもので、研究成果は学術誌「The Journal of Strength and Conditioning Research」に掲載されています。 研究グループは、2006~2018年に実施された「健康と退職に関する調査」の対象者の中から、50歳以上の1万4178人を対象に研究をおこないました。対象者の死亡日は全米死亡索引で確認されたということです。 この研究では、握力が弱いとされる定義を男女別に示しています。男性は「①35.5kg未満」「②体重1kgあたり0.45kg未満」「③BMIの単位(1kg/m2)あたり1.05kg未満」で、女性は「①20kg未満」「②体重1kgあたり0.337kg未満」「③BMIの単位(1kg/m2)あたり0.79kg未満」という場合に握力が弱いとされました。 早期死亡との関連を調べたところ、握力の弱さが①の場合はハザード比が1.45、②の場合はハザード比が1.33、③の場合はハザード比が1.39という結果が出ました。また、①~③の該当数が増えるごとにハザード比は上昇していました。具体的には、1項目該当するとハザード比は1.37に、2項目該当すると1.47、3項目すべて該当すると1.69という結果が出ました。 研究グループは、今回得られた知見について「握力の絶対値と身体サイズで調整した筋力容量の複合指標によって決定される筋力の弱さは、死亡までの時間を予測する上で信頼性の高い指標となる。スポーツ医学や健康の専門家が加齢に伴う筋力の重要性を議論する上で、役立つ可能性がある」と論文で言及しています。