秋吉台の観光交流施設、金曜日は英語しか話さない国際交流員…スタッフの語学力向上「ひるまなくなった」
山口県美祢市の中部から東部にかけて広がる日本最大級のカルスト台地・秋吉台は2025年、国定公園に指定されて70年の節目を迎える。市全域が対象の「Mine秋吉台ジオパーク」は、人類の誕生よりもはるか昔、3億5000万年前から続く地球と生命の「記憶」だ。26年春の国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)世界ジオパーク認定を目指して奮闘する地元住民らのラストスパートの年が幕を開ける。 【写真】雄大なカルスト台地にそよぐ黄金色…ススキの名所・秋吉台
「Good morning,Joanna.How are you?」。美祢市・秋吉台の観光交流施設「カルスター」でMine秋吉台ジオパーク推進協議会のスタッフが声をかけると、イギリス人で市の国際交流員のジョアナ・ウィルソンさん(28)が笑顔で応じる。「イングリッシュフライデー」の一日の始まりだ。
協議会にはウィルソンさんと、同じくイギリス人の国際交流員チング・シェクさん(33)が勤める。スタッフの英語力向上を目的に、2人は毎週金曜日は英語しか話さない。2023年夏からの取り組みで、日本人スタッフは2人の会話を通して英語に耳を慣らしている。
海外の調査員らと交流することが多く、ユネスコ世界ジオパークに認定されれば外国人観光客の増加も予想される。協議会の谷直子・事務局次長(47)は「2人のおかげで外国人と話すときにひるまなくなった」と効果を実感する。
ウィルソンさんは、両親が宣教師として来日していた際に奈良県で生まれた。高校まで関西で暮らし、大学進学を機に渡英。大学院では教育学や国際開発学を学んだ。小学校で補助教員として働いたが「慣れ親しんだ日本で働きたい」と日本に戻り、21年12月から協議会に勤めている。
地質学は専門外だったが美祢に来てから学んだ。ベトナムのジオパークと連携協定を結ぶ際には双方の意見をすり合わせ、英語の協定書をまとめた。モロッコなどで行われたジオパークの国際会議には3度出席。24年にはユネスコ世界ジオパーク認定に欠かせない150枚にも及ぶ英語の資料を作り、ユネスコ事務局に提出した。