新ワンダー王者に輝いたスターライト・キッド＝スターダム24年12・29両国

　女子プロレス・スターダムの「ジャパンキャンピングカーショー2025 presents STARDOM DREAM QUEENDOM 2024」が２９日、東京・両国国技館で行われ、スターライト・キッドが５度目の挑戦でワンダー王座を初戴冠した。２３分１５秒、スタースープレックス・ホールドで３カウントを奪い、なつぽいのＶ３防衛を阻止。第２４代ワンダー王者に輝いた。 【写真】ワンダー王座を失い、バックステージで巻き返しを誓ったなつぽい 　大ＳＬＫコールが鳴り響くリングの中央で、純白のコスチュームに身を包んだ新王者Ｓ・キッドが君臨した。「なつぽいがやっとの思いで取ったベルト、私もやっとの思いで取れました。両思いがぶつかり合ったからこそ、今までで一番の死闘だった」とうなずいた。「諦めないで良かった。応援してくれたファンの皆さんに一番の感謝を伝えたいです。私が巻いたからには、ワンダーのベルトを一番に輝かせます」と約束した。 　互いに得意技を出し尽くす死闘。Ｓ・キッドは序盤からストレッチマフラーを応用した黒虎脚殺で右足を狙い、相手のポストからの飛び技は剣山と回避して応戦。機動力が損なわれたなつぽいの打撃に苦しんだが耐え抜くと、タイガースープレックス、その発展系であるスタースープレックス・ホールドを繰り出して決着を付けた。 　２１年８月には８度目の挑戦だったハイスピード王座をなつぽいから奪取した。再び同じ相手からの悲願成就。「諦めないで良かった。苦しい時間が私を成長させてくれた。可能性を諦めないでと伝えたい。このベルトは重い。やっと手にしたベルトだから、もっと重くしたい。プロレスファン、マスコミの目をひっくり返します。女子プロレスの可能性を広げたい」と誓った。 　昨年は夏の5★STAR GP最終戦を足首負傷で欠場。故障による欠場は初めてで落ち込んだ。今年２月に安納サオリに４度目のワンダー王座挑戦を果たすも及ばず「気持ちで負けている自分がいた」と自身を責めた。転機は今春に極悪軍団・大江戸隊（現H.A.T.E.）を追放され、自身を見つめ直した末に７月に新ユニット「NEO GENESIS（ネオジェネシス）」と立ち上げたこと。以降は体を絞って新たなファイトスタイルを模索し、ファッションに気を使いＳＮＳ等でユニットとしての発信力強化に努めた。 　試合後には「環境と気持ちの変化が大きかった。挑戦にこぎ着けるための過程がこれまでと違った」とうなずいたＳ・キッド。「何よりもファンの力が大きい。会場のＳＬＫコールとか会場の雰囲気が背中を押してくれました」と感謝した。勝利後のマイクの締めくくりで再びＳＬＫコールを求めたことには「もう一回聞きたくなって、欲張っちゃいました」といたずらっぽく笑った。 　なつぽいとの勝敗を分けたものに「気持ち」を挙げ「なつぽいとは負けず嫌いなところ、やられたらやり返すところが似ている部分がある。奥の手だったEternal foeを出せたことが大きかった」と技術面でも胸を張った。小柄ながらも多くの持ち技を会得、使い続けてきた努力が実を結んだ。 　目標に掲げた「女子プロレスの可能性を広げる」には、「赤いベルトを持っていないと女子プロレスのトップに立てないというのが嫌。小さな体でも、白いベルトを持ってトップに立ちたい」と、ワールド王座との序列変化がひとつ。もうひとつは「可能性を決して諦めないで欲しい。その言葉をプロレス界で一番証明しているのが自分だと思うし、その言葉を広げたい。来年は外とのコラボを積極的にしていきたい」と世間への発進力強化を掲げる。マスクウーマンとして屈指の知名度を誇るＳ・キッドにはうってつけの目標だろう。 　来年でデビュー１０周年。「ホワイトタイガーになったスターライト・キッドの年にしたい」とキッパリ。欲深き新王者は使命感に燃えている。 （よろず～ニュース・山本 鋼平）