葛飾区3度目の正直。南北走る貨物線転用、次世代路面電車実現に意欲の背景
予想される高齢化の進行……その前に区民の足、公共交通整備を
それから約15年が経過。3度目は、新金線をLRTに転換した上で旅客化するという案が検討されています。2度目の旅客化を阻んだ国道6号線は、相変わらず交通量が多く、立体交差化もされていません。つまり、状況は15年前とそれほど変わっていません。なぜ、3度目の検討が進められているのでしょうか? 「もっとも大きな理由は、高齢化です。今後、自動車を運転できなくなる区民が増えることは確実ですから、そのために区民の足となる公共交通を整備しなければならないと考えています」(同) バスや路面電車のほか、葛飾区内には地下鉄の整備計画も浮上しています。東京メトロ有楽町線豊洲駅から分岐して、東陽町駅・住吉駅・押上駅を経由して亀有駅に至るルート、そして現在は墨田区の押上駅止まりになっている半蔵門線を北へと延伸させて金町駅へと至るルートです。この2本の地下鉄計画は、江東区・墨田区・千葉県松戸市と連携して取り組んでいます。 さらに、環状7号線に沿って足立区・葛飾区・江戸川区を結ぶメトロセブンという鉄道も計画されています。これら地下鉄計画は、ほかの自治体とも連携して取り組んでいる事業です。そのため、葛飾区単独でプロジェクトは動かせません。また、地下鉄は計画段階で着工はしていません。 葛飾区の調査は始まったばかりです。新金線の旅客転用もクリアしなければならない課題は多く残っています。LRTによる旅客転用を進めるため、葛飾区は予算に2017年度は2000万円、2018年度は3100万円を計上。実現に意欲的です。 葛飾区のほかにも路面電車による公共交通網の整備・充実を検討している自治体が、都内には複数あります。それだけに、葛飾区の動向が注目されています。 小川裕夫=フリーランスライター